「ポスト坂本」中山礼都内野手の守備力は、見るべき人が見れば、大きな伸びしろを感じられるようだ。
2月27日の巨人対DeNAのオープン戦、「9番・遊撃」でスタメン出場した中山が強肩を披露した。7回表、DeNA・嶺井の三遊間への深いゴロを逆シングルでキャッチすると、振り向きざまに一塁へ。ワンバウンド送球でアウトにすると、スタンドから大きな拍手が送られた。
「沖縄での最後の対外試合なので、丸、岡本、ウィーラー、中田など主力組がスタメンで起用され、若手は途中出場となりました。若手のなかでスタメン出場となったのは、中山と岡田昂希の2人だけ」（現地記者）
スタメン出場は、首脳陣の期待の大きさだろう。
ネット裏のライバルスコアラーたちも中山の逆シングルからの一塁送球を褒めていたが、評価していたのはその肩の強さだけではなかった。
「一塁を見ないで送球していました。頭のなかに一塁ベースがどのへんにあるのか、しっかりインプットされていなければできないプレー。いくら肩が強くても、一塁ベースを目視して送球していたとすればアウトにはできなかったでしょう」（同）
遊撃手としてのセンスだろう。二塁に走者が到達すると、しきりに声を出す。「牽制球を寄越せ」ということらしいが、これが自己アピールにもつながっているようだ。
同日のスタンドにいた観戦者もハツラツとした初々しさにエールを送っていたが、
「捕球態勢が丁寧すぎ。エラーしてはいけないとの思いが強すぎるのだと思う」（前出・ライバル球団スコアラー）
との指摘も聞かれた。初々しさもスコアラーたちにいわせると、「慎重すぎる」と映るようだ。3月25日の開幕戦が近づくにつれ、坂本など主力組も多く打席に立たせてやらなければならない。そうなると、中山の守備機会、打席数も減ってくる。
「ショートだけではなく、セカンドでもテストしてくるのではないか。オープン戦でセカンドを守らせることがあったら、今季、中山を一軍に定着させるつもりだと見ていい」（同）
坂本勇人をいきなり追い抜くことはできない。「セカンドで」というのは試合経験を積ませる、の意味でもある。守備で“初々しさ”ではなく、「そつなくこなす」雰囲気をアピールできるようになれば、原監督もセンターラインの改造を本気で考えるだろう。一軍に置いて育てるか、それとも、二軍で実戦経験を積ませるのか。中山の当落が気になる。
（スポーツライター・飯山満）
