「消えた」秦剛外相だけじゃない!失踪した「中国要人」たちのヤバい末路

 またもや、中国の表舞台からエリート高官が1人消えた。

 中国国営・新華社は25日、動静不明だった秦剛外相が中国の全国人民代表大会の常務委員会で解任され、後任に共産党の外交部門トップ・王毅政治局員が起用されたと報じた。

 王毅氏は秦剛氏の前任外相で、再登板となるわけだが、

「秦剛氏は先月25日、北京でベトナムとスリランカ外相に次ぎ、ロシアの外務次官と個別会談した後から動静が途絶えていましたが、中国外務省は“健康上の理由”と説明してきました。しかしその後、香港メディアが、同氏とテレビ局女性キャスターとの不倫スキャンダルを報道。外務省の定例会見では、それが原因で更迭されたのではないかとの質問も出ましたが、スポークスマンは『状況を把握していない』と答えるのみ。つまり、この時点で秦剛氏の問題はすでに外務省の案件ではなくなっていたということ。外務省より上と言えば、中国共産党しかありませんからね。要は早い段階で秦剛氏は共産党に、秘密裏に拘束されていた可能性が高いということです」(中国ウォッチャー)

 中国における外交の指針は、中国共産党の中央外事工作委員会が決定するものであり、外務省はそれをただ実行に移す機関に過ぎない。そして、共産党には規律検査委員会という公務員の不正を暴き、それを是正するセクションがあり、彼らの指示で秘密警察が動くケースも少なくないとされる。

「秦剛氏の解任に、どんな背景があったのかはわかりません。ただハッキリしているのは、同氏が二度と表舞台に返り咲くことはないだろうということ。なぜなら、今回の問題が同氏を任命した共産党、ひいては習近平主席の汚点になったことは間違いなく、中国共産党はメンツを潰した人間を、決して許すことはないからです」(同)

 秦剛氏に限らず、これまで中国では、習氏の前任者である中国共産党総書記を務めた胡錦濤氏をはじめ、アリババの創設者で中国財界で最も成功した億万長者ジャック・マー氏、さらには復星インターナショナルの会長だった郭広昌等々、突然行方不明になった政府や財界の要人は少なくない。その後、脱税や汚職事件に関与したなどの疑いで警察に拘束され、保釈後、表舞台から姿を消してしまうというケースも後を絶たない。

「突然姿を消すのは、中国共産党に対し反体制的な動きをする危険性がある人物たちで、それは政治家や実業家に限らず、多岐にわたっています。2018年7月には、ハリウッド映画『X-MEN』や『アイアンマン3』にも出演した国民的人気女優ファン・ビンビンが突然姿を消し、国外逃亡説や自宅軟禁説がまことしやかに囁かれました」(同)

 結果、彼女は1年後に姿を現したものの、脱税で約8億8300万元(約174億円)の罰金を科せられ、会見で「自分がしたことをとても恥じています。党と国家の素晴らしい方針なしでは、そして人々の愛なしでは、ファン・ビンビンは存在できない」と涙ながらに謝罪した姿は記憶に新しい。

 秦剛氏の消息は知れないが、たとえ再び姿を現しても、沈黙を守り通すしかないのかもしれない。
 
(灯倫太郎)

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