ウクライナによる大規模反攻開始から4日が経過した13日、ロシアのプーチン大統領が、首都モスクワで軍事記者らと会合を開き、その中で「ウクライナ側に大規模な損失が出ており、死者数はロシア側の10倍に上る」と主張、相変わらず強気の姿勢を見せた。
一方、ウクライナ側では連日のようにSNSに奪還した集落に国旗を掲げる兵士の動画をアップ。戦勝報告と士気高揚に余念がない。
「12日時点で、ウクライナ軍が同国南東部で開始した反転攻勢で奪還したと発表した集落は4つ。むろん、南部と東部に広がるロシア支配地域をすべて奪還するには、かなりの時間を要することは間違いないでしょうが、現状では人員、弾薬、航空力、すべてにおいてウクライナ軍のほうがロシア軍を上回るとされていますからね。今後、数カ月にわたり奪還作戦が続くことになるでしょう」(軍事ジャーナリスト)
そんな中、ウクライナ軍が10日にアップした、ロシア軍部隊を撃破する動画が話題になっている。
公開された映像はドローンで撮影されたもので、ウクライナ軍がロシア軍の陣地に照準を合わせて攻撃を行う様子だと説明されている。ウクライナ軍参謀本部によれば、攻撃を行ったのはウクライナ保安局(SBU)管轄の特殊部隊「ホワイトウルブス(白い狼)」と呼ばれる精鋭部隊で、この攻撃によりロシア軍の戦車7台と防空壕15カ所を破壊したと発表している。
そして今回、ホワイトウルブスが破壊した戦車が、ロシアが投入したばかりの最新鋭戦車「T-14アルマータ」だった場合、ロシア側が被る損失は計り知れないというのだ。
「ロシア軍がメインとして使っているのがT-62やT-72戦車と歩兵戦闘車BMP-1。いずれも60〜70年代に開発された旧ソ連製です。それに比べ、T-14はロシアが開発に10年以上の歳月を費やしたという、鳴り物入りで投入された画期的な最新鋭戦車だと言われます。ただ、この戦車が最前線での戦闘に使用されたケースは確認できていないことから、ウクライナ軍の反転攻勢に合わせて前線配備される予定だった可能性が高い。もしそれが直前で爆破されたとしたら…。ウクライナ側から正式な発表がないため詳細はわかりませんが、いきなり頼みの綱であるT-14が撃破されたとなると、ロシア軍の士気低下は免れないでしょう」(同)
先手必勝の色濃い、ウクライナの大反転攻勢作戦の行方は…。
(灯倫太郎)