トランプ大統領就任後、EUやカナダとの対立が先鋭化する一方、ロシアとの関係修復に向けて協議を重ねる米国。複数の現地メディアが情報筋の話として、ホワイトハウスがロシアに対する制裁緩和について関係各所に指示を出していると報じている。
これは停戦合意後を見据えたもので、米露の経済協力についても現実味を帯びてきた。22年2月にロシアがウクライナに侵攻した後、西側諸国の企業は次々と撤退したが、米国企業の早期のロシア再進出も囁かれている。
「米国にとってロシアは大きなマーケット。経済的に厳しい今のロシアにとっても渡りに船で、双方にメリットがある。現在の情勢を見る限り、EU系の企業に先んじて再進出する可能性は高いと思います」(経済誌記者)
なかでも注目されているのが、世界的ファストフードチェーンのマクドナルドのロシア再進出。22年5月に完全撤退し、その後はテナントして入っていた店舗跡をほぼ居抜きで使う形でパクリチェーンの「フクースナ・イ・トーチカ」が営業開始。マクドナルドの従業員は、そのまま継続雇用されている。仮に再進出となれば同じバーガーチェーンとして競合は避けられない。
「ただし意外とありそうなのは、同チェーンが再びマクドナルドとして営業すること。もちろん、クリアすべき問題は多いですが、店舗も従業員もそのまま使えるため、いちばんスムーズに事が進められるはず」(同)
なお、ロシアでは現地企業が引き継ぐ形で、KFCは「ロスティクス」、スターバックスも「スターズ・コーヒー」というチェーンでそれぞれ展開。こちらに関しても再進出となれば、元の名前に戻る可能性はありそうだ。
一部報道では、フクースナ・イ・トーチカの運営会社が撤退するマクドナルドに14億ドルを払って事業を引き継いだとの報道もあるが、商品やサービス、店のロゴなど類似点があまりに多く、訴えられてもおかしくない。
ライバルチェーンとして対決の道を選ぶのか、それとも元サヤに収まるのか。近い将来、起きるであろうマクドナルドのロシア再進出に注目だ。
※画像は、ロシア撤退前のマクドナルドの看板