騙されるな!「日経平均3万円時代」の家計防衛術(2)「靴磨きの少年」が現れたら危ない

 証券業界に有名な逸話がある。好景気のアメリカで、ある有名な投資家が靴磨きの少年から「あの銘柄は上がる」といった話を聞いて、すでに株価が天井圏にあることを察知。保有する株を売却したことで直後に起こる1929年の世界恐慌を切り抜けたというものだ。

「証券会社のデータを見ると、一般投資家の間で買いの動きが強まっていることがわかります。ただ、ニュースを見て株を買っているのはすでに証券口座を持っていた人たち。少し前の仮想通貨のブームと同じで、株式投資の知識もなく、証券口座すら持っていない人が『株を買っておけば儲かる』と言い始めたら要注意。もしも身近に〝靴磨きの少年〟が出現したら、暴落の予兆と疑うべきです」(経済アナリスト・森永康平氏)

 株高に乗じた詐欺犯罪にも警戒が必要だ。フリーライターの根本直樹氏が警鐘を鳴らす。

「株価の高騰で横行するのが未公開株詐欺。『上場すれば必ず儲かる』という口実で多額の購入代金を騙し取るというもので、00年代初頭のITバブルの時にも被害が拡大しました。証券会社の営業マンをかたることもあれば、裏の名簿を使って、金持ちそうな同級生を名乗ることも。『このチャンスを逃したら一生後悔する』などと煽って金を引き出すのが常套手段です」

 一方、「貯蓄から投資へ」というスローガンのもと、岸田政権が進めているのが「資産所得倍増プラン」だ。積立型の投資信託「NISA」を推奨し、口座数や買付額の倍増を目指しているが、経済ジャーナリストの荻原博子氏はバッサリと切り捨てる。

「岸田総理は国民に投資を呼びかけていますが、しょせんは他人の金ですからね。他人の金を引き出して市場に回せば、景気だってよくなるかもしれません。支持率だって上がるでしょう。でも、いくら景気が上向いても中間層から下へはいっこうに還元されない。自分の家庭がいちばん大切。しょせん、投資は博打ですよ。家計から博打にお金を出すなんて、身ぐるみをはがされるのがオチですよ」

 森永氏も、今回の株高について「浮かれてもダメ、警戒しすぎてもダメ」と前置きしてこう話す。

「来年からはNISAにおける非課税枠が拡大されるなど、内容が拡充されます。すでに積立投資をしている人も多いかもしれませんが、大切なのは毎月コツコツと一定額を積立していくこと。株高だからといって、積立額を増やしたりせずに、淡々と同じペースで長く続けてほしいですね」

 通常の株式取引では売却益に約20%の税金がかかる。しかしNISAならば一定範囲内で非課税。24年スタートのさらなる税制優遇と昨今の株高につられて〝にわか投資家〟が急増しそうだが、荻原氏はこう釘を刺す。

「いくら運用益が非課税になるといっても、基本は投資ですからね。株価が下がれば損をするんです。資金に余裕がある人が自己責任でやる分には構いませんが、ごく普通のサラリーマン家庭だったら、投資なんてしないで1円でも多くローンの返済に充てるべき。ローンがなければ低金利でも銀行に預けておくしかない。貯金を目減りさせないことが大切です」

 景気のいいニュースに惑わされることなく、家計防衛に努めてほしい。

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