元白鵬の伊勢ヶ濱部屋転籍で新入幕V・尊富士が苦悩する「照ノ富士との間で板挟み」

 大相撲春場所は尊富士の優勝で幕を閉じた。110年ぶりとなる新入幕優勝という快挙だった。優勝力士インタビューでの「記録も大事だが、皆さんの記憶に一つでも残りたくて必死に頑張った」との挨拶に館内は拍手喝采に包まれた。

 楽しみな日本人力士が出てきたと言っていいのだが、尊富士には、ある不安がのしかかる。所属する伊勢ヶ濱部屋(元横綱旭富士)には、満身創痍とはいえただ一人の横綱、照ノ富士がいる。尊富士にとっては「尊敬以上の存在」で、照ノ富士が所属していることが入門した理由の一つにもなっている。今後、部屋は大いに尊富士の今後を後押しするはずなのだが、

「宮城野部屋の転籍先が浅香山部屋(元大関魁皇)ではなく、急転、伊勢ヶ濱部屋に決まる流れになりました」(相撲担当記者)

 部屋ばかりではなく、宮城野親方(元横綱白鵬)も転籍という形で伊勢ヶ濱部屋の部屋付き親方になる。

「宮城野親方は尊富士の母校・鳥取城北高・相撲部総監督の石浦外喜義校長と太いパイプがあるのは相撲界では誰もが知っている話です」(夕刊紙記者)

 尊富士も鳥取城北高から日大に進み入門しているが、一方で中学時代から同郷の師匠である伊勢ヶ濱親方の相撲クラブ「つがる旭富士ジュニア」でその技を磨いてきた。その当時から尊富士の素質を見抜き「いい相撲取りになれる」と太鼓判を押していたのが、照ノ富士。尊富士も「多くの部屋からスカウトがかかった中で“伊勢ヶ濱部屋しか考えられなかった”」と話しているが、そこに今後、割って入ってくるのが宮城野親方というわけだ。

 宮城野親方が伊勢ヶ濱部屋の部屋付きになれば、尊富士にとっては「親方」にあたる存在となる。

「宮城野親方は尊富士への指導や指示も立場上はできます。相撲界の常識として、尊富士がそれを右から左に流すわけにはいかない。ましてや照ノ富士と宮城野親方が“不仲”であることも相撲界では常識。尊富士は板挟み状態に悩まされそうです」(前出・夕刊紙記者)

 新入幕優勝という快挙は成し遂げた尊富士だが、気分は重いのかもしれない。

(小田龍司)

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