「クレベリン」で大幸薬品会長個人に「96億円」賠償請求の異常事態!

 大幸薬品が5月19日、空間除菌を謳った「クレベリン」を巡り、柴田仁会長に約96億円の損害賠償を支払うよう求める株主代表訴訟を起こされたことを発表した。

「訴訟を起こしたのは、大幸薬品の株式の3%を保有する製薬会社の興和で、同社がいきすぎた宣伝広告を問題だと指摘したにも関わらず是正されなかったといい、柴田会長が注意義務を怠っていたと主張。大幸薬品の2021年12月期の連結最終赤字と同額の95億9400万円の賠償を求めています」(社会部記者)

 大幸薬品は製造・販売するクレベリンシリーズ6商品に「空間に浮遊するウイルス・菌・ニオイを除去」「用途、空間のウイルス除去・除菌・消臭にご使用いただけます」などと表示していたが、昨年1月と4月に商品の表示などについて消費者庁から景品表示法違反にあたる(優良誤認)として措置命令が出されていた。そして今年4月には表示の裏付けとなる合理的な根拠を示すものが認められなかったとして、課徴金6億744万円の納付命令が出されている。

 こうした経緯を受け同社には売上の減少や多額の返品も発生しており、21年12月期の最終損益は上記のとおり約96億円の赤字、22年同期も2期連続で大幅な赤字となった。

「消費者庁がクレベリンに関して違反認定した期間(2018年9月から22年4月)の売上高の合計は約202億円だったといい、景品表示法違反における課徴金の6億円は少なすぎるとの見方もありましたが、大幸薬品は22年12月期連結決算の純損益も48億円の赤字。96億円の損害賠償は柴田会長個人に対するものですが、これが認められるようなことがあれば、会社としてもかなりの打撃になるでしょう」(経済ジャーナリスト)

 はたして、裁判の行方やいかに。

(小林洋三)

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