菅野自身は、侍ジャパンのエースとして今年11月のプレミア12、そして来年夏の東京五輪に出場し、日本代表を頂点に導くシナリオを描いている。
言うまでもなく巨人のエースとしてもフル回転しながらチームをリーグ優勝、日本一へと引っ張る腹づもりだが、気にかかるのは侍ジャパンとの両立による勤続疲労だ。これに関しては菅野本人のしたたかな皮算用も見え隠れし、妙な噂までささやかれている。
「今季の菅野は、正直言って『絶対エース』という状態ではない。5月中に腰の違和感を訴え、19日間もチームから離脱するなどコンディションもイマイチ。この不安定な状態と先日の登録抹消に『来オフのMLB移籍を見越し、今年から来年の侍ジャパン参加が絡む過密日程を考慮して、飛ばしすぎをセーブしているのではないのか』と、疑念を抱くチーム関係者もいます」(スポーツ紙記者)
さて、何よりも菅野のMLB行きで最大のキーパーソンとなりそうなのは原監督である。言わずと知れた菅野の母方の伯父だ。20年オフは3年契約の原監督にとって、まだ任期を1年残しているタイミングだけに「チームの弱体化を招くことになる菅野のメジャー流出をわざわざ認めるとは思えない」との指摘もあるが、原監督に近い関係者は首を振りながら「いやいや、その逆ですよ」と言い切り、こう続けた。
「甥であるからこそ、菅野の夢をかなえるはず。原さんはそういう人です。侍ジャパンの監督に就いていただけあって、世界への挑戦に理解もあります。自分の血を分けている同じ野球人がメジャーリーグに羽ばたく姿を見たいと考えるのが、むしろ自然の流れです。『智之、残念だけど行かせられないよ』なんてことを言うわけがありません」
ところで、菅野の来オフMLB挑戦を後押しするのであれば、原監督としても絶対エースの退団前となる今季、来季のうちにせめて結果を残しておきたいところだ。ただ冒頭でも触れたように今のところリーグ首位でV筆頭候補とはいえ、必ずしも好材料ばかりではない。全権指揮官・原監督への不評がチーム内、あるいは球団内から少しずつ聞こえてきているのである。
「編成面も担う全権監督だけに、不平不満が向けられています。とにかく、今季の原体制は補強しすぎですよ。オフに獲得した丸佳浩(30)、炭谷銀仁朗(32)は活躍しているからいいとして、ビヤヌエバ(28)やクック(32)、中島宏之(36)、岩隈久志(38)は完全な期待外れ。この失敗だけで数十億円をドブに捨てた格好でしょう。これだけで飽き足らず、トレードで鍵谷陽平(28)、藤岡貴裕(30)、古川侑利(23)も獲得しましたが、パッとしない。ブルペン補強で緊急獲得したデラロサ(30)もさっそくリリーフに失敗し、今のところ『外れ害人臭』がプンプン漂っています。しかも、これでリーグ優勝、日本一を奪回したとしても『金で買った』と言われるのが関の山で、万が一、リーグ優勝を逃したり、CSで下克上をやられたりしたら、それこそ乱獲を裏で指示した原監督の責任問題に発展することは避けられません」(スポーツ紙デスク)
盤石の体制でVロードを突き進んでいると思われている原巨人だが、そのベンチ裏では来オフの「菅野問題」も含め、悩ましい懸案事項を抱えているのだ。