VAR導入の前倒しも検討、Jリーグを「DAZNマネー」が変える!

 7月30日、Jリーグの村井満チェアマンが記者会見を行い、「VAR」こと「ビデオ・アシスタント・レフェリー」の導入を前倒しすることを検討していると明かした。

 VARは18年のワールドカップ・ロシア大会で導入され有名になったシステムで、映像を使って判断を下す副審判員のこと。得点時やレッドカードの提示など、試合の結果を変える可能性のある時に同システムが用いられる。国際大会やヨーロッパの一部リーグではすでに使用されているが、Jリーグは21年から導入を予定していた。

 村井チェアマンによると、20年シーズンの開幕から導入を検討しているという。全カテゴリーで導入するのかなど、細かな点はこれから詰めていく。

「VARを導入するには、FIFAなどが定めるVARの条件を満たしていないといけません。今はそれをクリアするためのトレーニングをしている最中。想定より早く実戦投入できそうなので前倒しになったのでしょう。また、今シーズン、誤審が続いたことも理由の1つです」(スポーツ紙記者)

 5月17日の浦和対湘南戦では、湘南の選手がシュートしたボールが明らかにゴールに入ったのに認められないということがあった。また7月13日の横浜M対浦和の試合では、横浜のゴールが認められた後でオフサイドの判定が下り、その後改めてゴールと判断される事態が起きている。どちらもVARがあれば間違いは防げたはずだ。

「VARを導入するにはお金がかかります。レフェリーのトレーニングだけでなく、カメラやモニターなどの機材も各試合会場に用意しないといけません。出費は痛いものがありますが、JリーグにはDAZNマネーがありますから」(スポーツライター)

 17年、Jリーグは、スポーツ関連の動画コンテンツ配信サービス大手のDAZNと10年2100億円という破格の契約を結び、多額のDAZNマネーを手にしている。VAR導入費用などささいなものだろう。

「VAR導入に関してDAZNの功績はお金だけにとどまりません。DAZNでは節の終了毎に審判のジャッジを検証する『Jリーグジャッジリプレイ』という番組を放送しています。疑惑のシーンを何度も繰り返し見て、その判断が正しかったのか議論する内容です。実はこの手の番組はイタリアなど欧州では当たり前。これがあることで、レフェリーのレベルが上がったとされているんです」(前出・スポーツライター)

 日本でもtotoが始まった01年頃に同様の番組を望む声が上がったが、なかなか実現しなかった。DAZNが始めたことでサポーターの審判に対する要求が高くなり、ひいてはVARの導入につながったとも言える。

 Jリーグに革命をもたらしたDAZN。今後も日本サッカーに大きな影響を与えてくれるはずだ。

スポーツ