トランプ氏「ネコババ」していた安倍元首相からの贈呈品を返却した「切実なワケ」

 故・安倍晋三元首相から贈られた、金メッキが施された黄金のゴルフ・ドライバーを、ドナルド・トランプ前大統領が国に「返却」した。

「トランプ氏は自らが立ち上げたSNSの『トゥルース・ソーシャル』で、探していたドライバーがやっと見つかったとして、国立公文書記録管理局(NARA)に提出すると公表しました。アメリカでは、大統領の任期中に外国首脳などから贈られた20ドル以上のプレゼントについては、NARAに提出しなければならないとされています。大統領向けのプレゼントはアメリカ国民に贈られたものだという考え方からで、これはファーストレディーや子どもに贈られたものも同様であると、連邦法の『報酬条項規定』で定められています」(外信部記者)

 実は、トランプ氏はこれまで、NARAに提出すべき贈呈品のうち100点以上も提出しておらず、半ば「ネコババ状態」であると政府委員会の中間報告書で示されていた。そしてその中に、安倍元首相から贈られた黄金のドライバーも含まれていたのだ。ちなみにこのドライバー、本間ゴルフが発売している特注品で、価格は50万円だという。

 ただ、厳密に言うと、このドライバーは2016年11月に安倍元首相がアメリカを訪れた際にトランプ氏に贈ったもので、翌年1月に大統領に就任する以前の贈り物だった。それゆえトランプ氏も「(本来なら)申告する必要はない」としながら、「それでも私はNARAに申告する」と、まるで自分はバカ正直者だと言わんばかりの報告だった。もっとも、この正直な申告には裏があるようで…。

「トランプ氏は元ピンク女優への口止め料問題で起訴され、その他にも、トランプ支持者らによる連邦議会襲撃事件を扇動した件、機密文書をフロリダにある別荘『マールアラーゴ』へ持ち出していた件、20年の大統領選挙でジョージア州の選挙に介入した疑惑等々、30件を超える裁判や捜査の行方に全米中の注目が集まっています。贈り物問題では、最初は『俺のもの』と周囲に漏らしていたそうですが、せめてこの程度の問題では批判の芽を摘み取っておきたい、ということなのでしょう」(前出・外信部記者)

 黄金のゴルフクラブは返却したトランプ氏だったが、エルサルバドル大統領から贈られた実物大の自画像はまだ提出されていないという。ただ、こちらも近いうちに「発見報告」されるのかもしれない。

(猫間滋)

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