佐藤治彦「儲かるマネー駆け込み寺」ギャンブルより株式投資「コロナ回復出遅れ株」が狙い目だ

 今回は私がこの1カ月で買った株の話をしたい。岸田首相は「賃金上昇を」と言うが、企業任せばかりで、防衛費のように決意さえあればできる最低賃金のアップや、低賃金でこき使われている非正規公務員の待遇改善などに手をつけない。大多数の人にとっては、物価や社会保険料は上がるのに給料は、ほぼそのままの状態が続きそう。

 とはいえ、元本保証のない資産運用も選択肢に入れた方がいいと思うようになったのは、もはや自分で金を増やさないと生活が成立せず、老後が崩壊する人が多すぎるからだ。

 株式投資で儲けるためには2つのやり方がある。【1】買った時よりも売った時の株価が上がる。【2】株価は大して上がらなくても、株主に払われる配当金や株主優待で儲ける方法だ。

 特に株に関わる利益は税金で優遇されている。皆さんも「NISA(ニーサ)」(少額投資非課税制度)という言葉を聞いたことがあるだろう。通常は1年間に120万円まで株式などへの投資で得られた利益、例えば5年以内の売却益や配当金の収入に対しては税金がかからない。銀行預金なら年0.05%の定期預金の金利にも20%以上の税金がかかるのに、NISAの枠内なら丸儲けなのだ。

 株式投資というと「俺は金なんかない」という人もいる。確かに何千万円、何億円と動かす人もいるが、10万円前後、いや、それ以下でも面白そうな銘柄はある。5万円程度なら月に競馬などのギャンブルで使っている人もいるだろう。宝くじだって100枚買えば3万円だが、これらの勝負は一瞬で終わる。

 その点、株式投資は会社が潰れるといったことなどがないかぎり、株式のレースに決められた終わりはない。なのでゴールは自分で決める。もう盛り返すことはないと自分が負けを認めるか、うまくいった時にゴールと決めればいいのだ。

 具体的な話をすれば、日経平均が2万8000円近くまで上がった今は、個別銘柄の物色で「投資金額に対してなかなかの配当金がもらえる配当利回りのいいもの」を選ぶか、「出遅れ株」を狙うかが考えられる。コロナ禍により航空会社の株価は一時大きく落ちたが、ここにきて旅行する人が増え、株価は相当戻してきた。一方でコロナ禍で大きく下がったまま株価が戻ってきてない銘柄もある。「コロナ回復出遅れ株」だ。

 最近、私が買った株を一つ紹介したい。ただし、マネして買って損しても責任は取れないので、自己責任で決めてもらいたい。

 それは大手スポーツクラブの株式だ。コロナ禍で施設を幾度となく長期間閉めて、公的な補助もほとんどなく経営はズタズタ。やっと運営ができるようになったが、一度離れた客はそう簡単に戻ってはこない。株価は大きく出遅れている。買ったのは私も通っている「ルネサンス」(東証2378)だ。 

 18年の10月に上場来高値2638円をつけたが、コロナ禍などで大幅に値を下げる。20年の後半から少しずつ持ち直し、22年1月4日が去年の最高値の1138円。その後はダラダラと下げる展開となり、昨年末は830円の年初来安値までつけた。

 今年に入って多少持ち直し、2月初めでもまだ900円ほど。さらに下がれば買い増ししてもいいなと思って買ったわけだ。予算は100株で約9万円。運用利回りは0.9%を下回るが、株主優待でもらえる利用券(100株で年間4枚)は金券ショップの人気商品で都心部なら買い取ってくれる。

 ネットオークションでもかつては1枚1100円、今も800〜900円で売買されているので、使わないのであれば売ればいい。

 それを考慮すると運用利回りは4%以上になる。株価上昇と運用利回りの両方で魅力的だといえよう。

 次回も最近買った株の話をする。風邪をひかないように頑張ろう。

佐藤治彦(さとう・はるひこ)経済評論家。テレビやラジオでコメンテーターとしても活動中。著書「おひとりさまが知って得する、お金の貯め方・増やし方」(ぱる出版)ほか多数。

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