2015年に北陸の古都・金沢まで伸びた北陸新幹線。計画では、さらに福井県にも乗り入れて福井駅を経て同県の敦賀まで伸び、さらにその先には京都を超えて大阪まで結ぶ予定だった。だが、遅々として進まぬ計画に、待ち望む関係者はやきもきしている。
「12月14日、与党の整備新幹線建設推進プロジェクトチームは、当初求められていた大阪延伸の来春着工は難しいとの国交省の報告を受けて、断念せざるを得ないとしました。代わりに着工後に必要な作業の一部を前倒しすることで、計画全体の遅れが出ないようにするということですが、果たしてどうなることか」(全国紙記者)
この一報を受けて最も落胆したのは福井県関係者だと言われる。北陸新幹線が金沢から先に伸びなければ、福井は新幹線の「陸の孤島」となったままだからだ。
とはいえ、24年春には福井はもちろん、その先の敦賀までは延伸される予定だ。そうなれば「孤島」からの脱却と言えそうだが、実はそうではないという。なぜか。
「敦賀までの延伸で福井—東京間は34分短縮され、2時間53分で結ばれることにはなります。ただ、敦賀は昔から交通の要衝で、それは今も変わらず周辺と結ばれています。だから敦賀周辺の人なら滋賀県の米原駅で東海道新幹線に乗り換えれば、東京まで最速で3時間を切ります。福井にしても、京都や大阪、名古屋方面に行く場合には、現在走っている特急を使うという状況は変わりません。つまり、福井としては敦賀まで伸びるだけではなく、なんとしても計画通り京都、大阪まで延伸して欲しいのです」(前出・全国紙記者)
だが、問題は環境アセスメントにあり、京都では、リニア中央新幹線の静岡県の「水源問題」同様、地域住民の猛烈な反対運動にあっている。福井県の悲願がすんなりと進む可能性は低い、と言わざるを得ないない状況なのである。
ちなみに福井県は、福井空港が半世紀近くにわたり定期便の就航がないこともあり、空路においても孤島となっている。そこでヘリでTDLやUSJを結んでしまおうという夢のプランを掲げた民間航空会社が現れて地元も大歓迎したが、就航予定だった今年5月になっても鳴かず飛ばずで、今もって構想は動いていない。
果たして福井県関係者が胸を撫でおろせるのはいつの日か。
(猫間滋)