北陸新幹線「大阪延伸計画」のリニア新幹線よりヤバい事態

 3月16日に金沢―敦賀間の125㎞が延伸開業した北陸新幹線。初日には延伸区間だけで3万4000人が利用し、沿線の各駅ではイベントが開催。大勢の人で賑わいを見せた。

 今回の開業で金沢から大阪に向かう場合、所要時間が平均18分短縮されたが、地元では「早く大阪まで延伸してほしい」という声も。実際、全国新幹線鉄道整備法によると、北陸新幹線には敦賀―新大阪の延伸計画がある。

 ルートについては琵琶湖畔を通る「米原ルート」「湖西ルート」「小浜ルート」の複数の案があった中、敦賀駅から若狭湾に沿って西に進み、小浜市から山間部を通って京都駅に南下する「小浜・京都ルート」に16年12月に決定。京都駅からは東海道新幹線の線路に乗り入れず、松井山手駅(京都府田辺市)付近を通って新大阪駅に至る「南回りルート」が17年3月に採用されている。だが、問題は山積みのようだ。

「当初は今年度内に工事が着工される予定でしたが、すでに25年度以降の延期が決まっています。概算で2兆1000億円とされる建設費も現時点では確保できておらず、着工が遅れる要因のひとつになっています。しかも、資材や人件費は近年高騰しており、さらに予算が必要になる可能性が高い。そこも大きな懸念材料になっています」(鉄道ジャーナリスト)

 一方、関西の人口密集地帯を通るが、地下40m以下の深々度のルートなので用地買収の必要は最小限に抑えられる見通しだ。だが、これについても大きな問題があるという。

「京都は地下水が生活用水として使われており、一説では琵琶湖に匹敵する水量があると言われています。そのため、北陸新幹線の掘削工事を京都盆地を縦断する形で行った場合、地下水脈に大きな支障が生じ、『地下水の枯渇や地盤沈下などの問題を引き起こす可能性がある』と指摘する専門家もいます」(同)

 その話で思い出すのは、似たような理由でリニア中央新幹線の工事を許可しない静岡県の川勝平太知事。将来就任する京都府長や京都市長が工事に反対する可能性もあり、市民の大規模な反対運動に発展する事態もあるだろう。

 交通の便が良くなるのはありがたいが、どうやらこちらも一筋縄ではいかなそうだ。

※写真は敦賀駅に入線した北陸新幹線

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