東海道新幹線と北海道・東北新幹線、上越新幹線、北陸新幹線の発着駅である東京駅。大勢の人が毎日当たり前のように使っているが、東海道新幹線と他の新幹線の相互乗り入れは過去も現在も行われていない。
在来線では15年3月のダイヤ改正から東北本線(宇都宮線)や高崎線、常磐線が東海道本線に乗り入れる「上野東京ライン」の運行が始まったが、それとはあまりに対照的だ。
ただし、東北新幹線の工事に着工した当初は、将来的な新幹線の相互乗り入れを前提としたものだった。当時は将来的に東京駅の新幹線用のホームを8本に増やし、うち5本を乗り入れに対応させるという具体的な計画もあった。
だが、新幹線ホームこそ現在は8本(うち東海道新幹線6本)になっているが、東北新幹線開業前の1977年の時点で定期運行の直通運転を行わない方針に変更している。
「当時、保線関連のトラブルが多発し、直通運転だと新幹線全線に影響を及ぼすと慎重論が上がったためです。ですが、乗り入れをまったく行わないというわけではなく、臨時列車や団体列車に限定して直通運転を行うと含みを持たせていました」(鉄道専門誌編集者)
ところが、1987年4月に国鉄がJRに分社民営化したことで状況はさらに変わってしまう。東海道新幹線がJR東海の管轄なのに対し、すでに開業していた東北新幹線と上越新幹線はJR東日本。同じグループとはいえ、別会社となってしまったからだ。
「JR東日本は将来的な乗入れに前向きだったのに対し、JR東海は東海道新幹線が当時すでに過密ダイヤだったことなどを理由に消極的でした。結局、1991年に東北・上越新幹線が東京駅に乗り入れても線路は東海道新幹線に繋げられることはありませんでした」(同)
その後、直通運転に関する協議などもなく、この話は完全に立ち消えになってしまった。また、今後も実現の可能性は低いという。
「東海道新幹線と東北・上越・北陸などJR東日本の各新幹線では信号システムや電源周波数が異なり、多額の設備投資が必要になるためです」(同)
東京以西から新幹線で東北・北海道、信越方面に行くには、今後も東京駅で乗り換える必要がありそうだ。