ウクライナへ軍事侵攻を展開し劣勢になっても頑なまでに戦争を継続するロシア。すべてはプーチン大統領の判断と言われ、彼の姿が独裁者と映る人も多いだろう。
だがロシアは、日本と同じく司法・立法・行政が独立した三権分立で、議会には野党も存在する。もちろん、反戦デモに対する取り締まりをはじめ、野党関係者の逮捕や不審死など、実態は「ロシア=怖い国」を意味するネットスラング〝おそロシア〟そのものだが、意外にも政治の枠組みは民主主義的との見方もできる。
「プーチン大統領が権力の座に就いて以降、何度も憲法が改正されて形骸化しましたが独裁的であっても独裁国家とは言えません。政治体制なら隣国ベラルーシのほうがよっぽど独裁国家に近いです」(国際ジャーナリスト)
確かに、同国のルカシェンコ大統領は〝ヨーロッパ最後の独裁者〟と呼ばれ、ウクライナ戦争後も一貫してロシアを支持。在任期間はすでに29年目に突入している。
「かつて『野党の集会に参加する者はテロリストだ!』と発言。プーチン大統領ですらここまでは言っておらず、弾圧もロシア以上に苛烈です。秘密警察が目を光らせ、これまでにかなりの数の反政府組織関係者が謎の死を遂げています」(前出・ジャーナリスト)
また、〝中央アジアの北朝鮮〟との異名をとるトルクメニスタンをはじめ、アゼルバイジャン、ウズベキスタン、カザフスタンといった国々も、政府が権威主義的で言論の自由に対して弾圧したり、長年一党支配が続いた事実上の独裁国家。いずれも豊富な地下資源を背景に経済発展を遂げ、外交的には領土問題を抱えながらも国内の情勢は比較的安定している。しかし、体制批判には逮捕など厳しい姿勢で臨み、民主主義国家のような寛容さはない。
「ソ連崩壊後に独立しても体制をガラッと変えたわけではありません。歴史的に民主主義に縁遠い地域だったため、そのことも関係していると思います」(前出・ジャーナリスト)
民主化から一転して独裁色を強めるロシア。周辺国がその影響を受け、これ以上強固な独裁体制にならなければいいが…。