海外の中国人留学生も抗議集会! 習政権が恐れる「中国王朝」不穏な歴史とは?

 中国で日増しに勢いを増す「ゼロコロナ」政策への抗議デモ。27日には、習近平主席の母校でもある北京の名門、清華大学で抗議集会に数百人以上の学生が参加。「いま声を上げなければ生涯後悔する」と訴えながら習氏の辞任を求める動画がSNSで拡散され、大きな波紋を呼んだ。

 さらに、抗議デモは中国国内にとどまらず、海外にも飛び火。同じく27日には、約200人の中国人留学生らが参加したパリのデモをはじめ、新宿で90人、ロンドン、シドニー、そして当局の締め付けが増す香港の香港大学でも数十人が集まった。29日には、米の名門・ハーバード大学構内でも中国のデモ参加者を支援する集会が開かれ、中国語と英語で「われわれは奴隷ではなく市民だ」といったスローガンが声高に叫ばれた。

 国営・新華社通信によると、これらの動きに対し中国政府は「敵対勢力の浸透、破壊活動に打撃を与える」「社会秩序を乱す違法な犯罪行為を断固取り締まる」ことを打ち出したという。実際、中国国内ではデモの扇動を疑われたのか、スマートフォンを検閲され連行される市民も確認されている。

「天安門事件」のような国を揺るがす大規模集会だけは何としても阻止したい中国共産党としては、抗議の火が大きくならないうちに鎮火にかかるはずだ。そして、何事もなかったかのようにゼロコロナを続け、習近平の力を内外に見せつけるものと思われる。しかし、国際地政学研究所上席研究員で日本を代表する地政学・戦略学者として知られる奥山真司氏が、興味深いシナリオを示した。29日に放送された「飯田浩司のOK! Cozy up!」(ニッポン放送)に出演したときのことだ。

 奥山氏は、中国出身でハーバード大・王裕華教授の論文を紹介。中国の歴代49王朝と282人の皇帝を調べたものだが、それによれば、中国の歴代王朝は長くはもたず、短いもので1年、平均でも70年だそうだ。ちなみに毛沢東が中華人民共和国を建国したのが1949年だから、今年で73年目にあたる。また、王朝が陥落する時にはエリートの反乱が起こるそうで、歴代王朝の26%が当てはまるという。このあたりも、名門大学で展開される中国人留学生らによる今回のデモと重なりそうだ。
 
 また、無事に退任できた皇帝は半数しかいないというデータもあり、後継者を決めた方が政権を保てるという傾向もあるという。だとすれば、異例の3期目に入り“生涯主席”を目論む習氏の退任劇は平穏無事とはいかないのか‥‥。
 
 奥山氏もラジオでこう語っていた。

「結論として言えるのは、『習近平政権後は荒れる』ということです。その後の中国共産党は大変ではないかということが、中華帝国の歴史から見えてきます。(中略)やはり後継者をしっかり決めないとダメなのではないかと。教訓から見ると中国共産党は習近平さんのあとが大変なのではないかということが言えると思います」

 歴史は繰り返されると言われるが、さて、習政権の行く末やいかに。

(灯倫太郎)

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