ツイッターからの乗り換え急増「マストドン」使用についての注意点

 イーロン・マスク氏による買収をきっかけにツイッターからの退会を宣言するユーザーが続出しており、その乗り換え先としていま急激に新規ユーザーを増やしているのが、オワコン扱いをされていた「Mastodon(マストドン)」だ。ツイッターとマストドンは非常によく似た性質を持ったSNSだが、今後さらなる大移動が起きるのだろうか?

「ドイツ人プログラマーであるオイゲン・ロチコ氏によって2016年に公開された短文投稿型SNSであるマストドンは、プロフィールを作成してメッセージを投稿することが可能で、フォローしているユーザーの投稿はタイムラインに表示されます。『いいね』と同じ役割の『お気に入り』や『リツイート』と同じ機能の『ブースト』などもあり、ツイッターライクなインターフェイスとなっています」(ITジャーナリスト)

 マストドンはオープン直後にユーザーが殺到して大きな話題となったが、その後サーバー(インスタンス)の閉鎖が相次いだことから利用者は激減していた。しかし、7日にロチコ氏が自身のマストドンに投稿したところによると、マスク氏がツイッターを買収して以降、マストドンには約49万人のユーザーが新規登録し、月間アクティブユーザーは102万人に達するなど過去最高を記録したという。

「マストドンがツイッターと一番大きく違うのは、複数のサーバー(インスタンス)が存在しているということです。企業や個人が地域、趣味、職種など様々なテーマのサーバーを運営しており、アカウントを作成した際には必ず所属するサーバーを決めなければなりません。所属したサーバーは管理者が運営していて、サーバー内のルールも管理者によって異なるため、まずは自分に合ったサーバーを見つけなければならないのです。さらに、管理者はスパムや誹謗中傷などの投稿の削除も行わなければならずないため、20年6月には日本で2番目と3番目に大きいサーバーが、運営における負担が多いことを理由に閉鎖するといった事態も起こっています。今後、さらにユーザーが増えれば管理者の負担はさらに増大し、削除するべき投稿が放置されるといった可能性もあるため、ツイッターのように気軽に利用できるかというとちょっと難しいかもしれませんね」(ITジャーナリスト)

 マストドンは、ユーザーが増えれば増えるほど問題が噴出する可能性が高そうだ。

(小林洋三)

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