イーロン・マスク「ご乱心」ツイッターから社員もスポンサーもユーザーも逃亡中

 意気揚々とツイッター社を買収したイーロン・マスクだが、迷走している。「自由な言論」を実現すべく、凍結されているトランプ前大統領のアカウントを復活させる意向を示していたが、ヘイトスピーチやフェイクニュースに傾くことが懸念されて、アウディやファイザーといった大企業が広告を撤退。7500人の従業員の約半数の3700人の大量レイオフをいったん取りやめるなど、どうも後手後手に回っているのだ。

「マスクは9日にはアップルやBMWのような大企業、アメリカ政府、大手メディアに灰色の公式ラベルの付与を始めましたが、これもわずか数時間後には撤回しました。本人もツイッターへの投稿で、『ツイッターは今後数カ月、ばかげたことをするだろう』とし、色々と試行錯誤しながら悪いものはすぐに取り止めて良いものは残すとしています」(経済ジャーナリスト)

 この辺りのフットワークの軽さが彼の良さでもある。だが同時に一般ユーザーも同じく移り気なものだ。マスクは同時に、月8ドルの認証バッジの導入や投稿の削除が出来るツイッター・ブルーを現行4.99ドルから値上げするとしているが、何かと金がかかることに嫌気がさしたユーザーの間で、ツイッターからの「脱出」の動きが出始めている。

「1つの現れとして、ツイッターと似たSNSのミニブログサービスの『マストドン』のユーザーが急増しています。マスクによるツイッター社の買収完了が伝えられたのが10月27日でしたが、それからおよそ10日後の11月7日までにマストドンの新規ユーザーが48万9003人も増えて月間アクティブ・ユーザーも100万人を突破したと、創業者かつ開発者でもあるオイゲン・ロチコ同社CEOが自らのアカウントで明らかにしています」(同)

 マストドンは16年に開設されて、17年に日本で初めてインスタンスが開設された。マストドンを始めるにはまずこのインスタンスに登録する必要がある。インスタンスとは、例えば“ニコニコ動画をよく使う人が集まっている”というような、ある種の同質の傾向がある人が集まる島のようなもの。これら多くの島が連携して、マストドン全体が構成されている。

 ツイッターにおけるツイートの代わりになるのが、マストドンでは「トゥート」というもの。一番の大きな違いが、ツイッターの140文字に対して500文字と長いことだ。

 日本では17年に堀江貴文氏が紹介したことで広く知られるようになった。ガーシーこと参院議員の東谷義和氏もマストドンにてアカウントを開設している。
 
(猫間滋)

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