ナニワ経済の地盤沈下が止まらない。コロナによる外国人観光客の客足が戻らぬうちに、追い打ちをかけたのが、25年の大阪万博の強行だった。適正な予算規模にウハウハの経済効果を謳っていたが、その目論見は早くも破綻。「維新行政」の独断専行に府民の総ビンボー化は必至の情勢だ!
「お客さん、どこかお探しですか? ガールズバー、どうっすか?」
場所は北新地の本通り。20代前半と見られる、まだ若い青年と目が合うとすぐにこう声をかけてきた。紳士的な社交場であるはずの新地が、今激変しているのをご存じだろうか。
「コロナ禍でクラブやラウンジの閉店が相次ぎ、代わって参入したのが北新地とゆかりのない地方の水商売グループ。相応の品格を求められる北新地が今では客引きで溢れ、『まるでミナミのようだ』と嘆く常連客もいるほど。寂しいですが、時代の急変を感じますね‥‥」
クラブの黒服も肩を落とし、「新参者」に手を焼いている様子を隠さない。
インバウンド需要で好景気に沸いた大阪も今は昔。かつての賑わいが嘘のように閑散としているのが、コロナ禍が予断を許さない今の状況なのだ。特に気がかりなのは大阪府の「依存財源」の大幅な上昇率だ。
依存財源とは国から交付される収入のことで、2010年に4424億円だった依存財源はコロナ前の19年の予算では8569億円。それが22年には3倍強の1兆3371億円と激増している。コロナ感染抑止策を講じる国の財政支援が大半を占めるとはいえ、その依存度は高いと言わざるを得ないだろう。
だが、これほどの財源を投入しても、コロナ関連で破綻する企業は大阪で412件。東京に次いで2番目に多いというが、肌感覚では「大阪一人負け」を実感するという。
東京や名古屋など大都市圏に服を卸している商社の経営者も声を落とす。
「まあ、今年の夏以降は全国的にコロナ明けで、ようやく需要も増えてきたが、渋いのは大阪のお客さんですわ。元々、節約志向が強い場所柄だけど財布の紐が全く緩まん。来年以降の資金繰りがホンマきつくなるわ。倒産も増えるやろうね」
さらに、3年後には、行政と民間あげてのビッグイベント「2025年日本国際博覧会」、通称「大阪・関西万博」も控えている。とはいえ、コロナ以前ならまだしも、折からの円安に加え、パビリオン建設のための資材の高騰に歯止めがかからず、事業予算の上振れが相次いで報告されている。旗振り役の吉村洋文大阪府知事は10月26日の会見で平身低頭。弁明に追われた。
「府民の皆さんに対して申し訳ないと思います。コスト管理をより強化しながら素晴らしいパビリオンを作って、将来の大阪にプラスになるようなパビリオンを作っていきたいと思います」
吉村知事が謝ってもビタ一文安くならないのが、万博会場の目玉の一つとなる展示館「大阪ヘルスケアパビリオン」の建設費だ。当初の建設費用は70億円が上限だったが、ふたを開ければ1.5倍となる115億円との見通しを示した。この建設費用、大阪市と大阪府が折半するというが、これはまだまだ序章に過ぎない。
*週刊アサヒ芸能11月10日号掲載