85年4月17日に甲子園で行われた「阪神対巨人」戦はプロ野球ファンの語り草となっている。7回裏、阪神は3番・ランディ・バース、4番・掛布雅之、5番・岡田彰布のクリーンアップが3者連続で巨人・槙原寛己から本塁打をバックスクリーンに放り込んだ。6対5で勝利した阪神はこの年、21年ぶり7度目のリーグ優勝を遂げた。
元巨人で野球解説者の江川卓氏が自身のYouTubeチャンネル〈江川卓のたかされ【江川卓 公式チャンネル】〉を更新(10月16日)。じつは、現役時代の江川氏も「3者連続本塁打」を浴びていた。
それはプロ1年目、79年9月18日の対大洋(現、DeNA)戦。5番・ジーンマーチン、6番・山下大輔、7番・田代富雄から被弾し、この4回にノックアウト。試合は9対2で巨人が敗れている。
この事実をスタッフから聞かされた江川氏は、
「自分でやっておきながら初めて聞いた」「へぇ、3本打たれてるんだ」
と、まるで他人事のよう。このほかにも江川氏にはプロ通算9年で10度の「2者連続被本塁打」の記録が残っているが、本人には2、3度しか記憶にないようで、
「新聞に“一発病”って書かれたのが初めて分かった。そりゃ書くよなって…」
と苦笑い。そのうえで、連続本塁打を浴びた原因をスタッフに問われると、失投は後に引かないそうだが、渾身の一球を打たれると、
「ハッキリ言って性格です。ムキになるんですよ。1本打たれるとカッとなって、まともにいくんですよ。それを狙われてたのがある」
と自己分析していた。
プロ野球の通算被本塁打数に目を向けると、1位の鈴木啓示(近鉄)が560本、2位の山田久志(阪急)は490本、3位・東尾修(西武)412本と並び、いずれ引けを取らない負けん気の強いレジェンドばかりだ。
被本塁打数は名投手の裏返しなのかもしれない。
(所ひで/ユーチューブライター)