山本由伸を襲った「脇腹痛」は大投手の証明? 41年前、キレッキレだった江川卓も…

 今シーズン15勝を挙げて2年連続の最多勝を獲得、加えて最高勝率、最多奪三振、最優秀防御率にも輝いたオリックス・山本由伸。10月22日に行われた日本シリーズ初戦に先発したものの、左脇腹を痛めて4失点KO。以降の登板はなかった。
 
 山本のケガの具合が気になるところだが、いまから41年前、1981年の巨人の大エースもこのケガに襲われている。野球解説者の江川卓氏が、自らのYouTubeチャンネル〈江川卓のたかされ〉で回顧した(10月28日更新)。
 
 この年、江川投手は20勝を挙げて2年連続の最多勝に輝いた。最高勝率、最多奪三振、最優秀防御率も獲得して、成績的にも今年の山本と共通している。

 12連勝して9月9日に21勝目を挙げたあとの練習時のことだ。江川氏によれば、「投げた瞬間にパンって(キャッチャーミットに)入ったの。あの時、170m/h出てたと思う」とジョークが飛び出すほど絶好調で、「このままいけば25勝するんじゃないか」との予感もあったという。ところが、さらに投げ込んでいるうちに、右脇腹に肉離れを起こしてしまった。あまりのキレのよさに体がついていかなかったのではと、江川氏は自己分析している。
 
 結局、その後のシーズンでは1勝も挙げることができなかった。勝ち星(21勝6敗)、防御率、奪三振数ではトップを守ったものの、沢村賞は同じく巨人の西本聖(18勝12敗)に奪われた。だが、この評価はさすがに酷いと世間の同情を引き、「空白の一日」事件のダーティーイメージが払拭されるというおまけもついた。
 
 江川氏の右脇腹は順調に回復し、日本ハムとの日本シリーズでは3試合に登板、2勝を挙げる活躍で巨人が8年ぶりの日本一に輝いている。
 
 そして今年のオリックス。左脇腹痛でエース山本を欠く中、投手陣が踏ん張ってヤクルトを下し、日本一の栄冠を手に入れた。「大事な試合でこんなことに…」と沢村賞右腕は沈んでいたが、リーグ優勝の立役者は間違いなく山本だ。
 
 ちなみに、右脇腹痛の翌年の江川氏は19勝、防御率2.36と前年に続いて抜群の成績をのこした。山本は来年オフにもメジャー挑戦が確実視されているが、2年連続の最多勝で置き土産が出来るだろうか。

(所ひで/ユーチューブライター)

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