「今シーズンのプロ野球を見ても、規定投球回数に足りてるピッチャーで、平均7イニング投げているピッチャーは山本由伸投手しかいないんです。あとはみんな6回途中という平均値なので、勝つためには5人のピッチャーが必要」
来季に向けて投手起用のポイントを挙げたのは、巨人の新一軍投手チーフコーチに就任した阿波野秀幸氏。10月18日、テレビ東京が運営するYouTubeチャンネル〈テレビ東京スポーツ〉に出演してのこと。
「そう考えるとリリーフで獲得する選手が出て来てもいいんじゃないかなって思いますね」
今季、投球回数を登板数で割ると、最多勝、最優秀防御率を獲得した山本(オリックス)は「7.42」。防御率で2位の千賀滉大(ソフトバンク)は「6.54」、勝利数2位の高橋光成(西武)は「6.73」だった。セ・リーグを見ても、最多勝と最優秀防御率を獲った青柳晃洋(阪神)が「6.75」であり、山本の突出ぶりが際立つ。
ちなみに、「我々の時代は先発完投が当たり前」と阿波野氏が言うひと時代前のプロ野球に目を向けてみると、通算投球回数を通算登板数で割ってみると、阿波野氏は「4.13」。400勝投手のレジェンド金田正一氏でも「5.85」。当然のことながら、新人の頃や現役終盤は投球回数も少なく、リリーフに回る機会も多かったことが考慮されるが、「昭和の怪物」と称された元巨人の江川卓氏は「6.98」となかなか高い数字を残しており、当時、ライバルと目されていた西本聖氏は「5.31」と江川氏が上回った。
また、先発完投といえば沢村賞に3度選出された元巨人の斎藤雅樹氏を浮かべるが「5.57」。さらに「平成の怪物」松坂大輔氏は日米計算で「5.97」と、怪物対決でも江川氏が制する結果に。
惜しむらくは江川氏は現役9年と短命だったことだが、それでも「怪物」の称号はピッタリだったことが判明した。
(所ひで/ユーチューブライター)