予備役が対象とされながら、動員反対デモで拘束された人が前線に送られたり、軍務経験のない者まで招集されるなど、無茶苦茶なことになっているロシア。最近では「二重国籍保有者が優先的に徴兵されるのではないか」という突拍子もない噂も流れている。
プーチン大統領が兵士の部分動員令に署名した先月21日、アメリカ政府はロシアとの二重国籍者の出国が制限され、徴兵の恐れがあるとして、同国に滞在する自国民に出国を促した。また、バルト三国(エストニア・ラトビア・リトアニア)やポーランド、ルーマニア、ブルガリア、イタリアの7カ国も9月末までに自国民の退避勧告を相次いで行っている。
ロシア政府が徴兵年齢男性の出国禁止を発令する一方、多くのロシア国民とその家族が招集を逃れるために海外脱出を図ろうとし、航空券は片道100万円以上に暴騰。陸路では国境が次々と封鎖されている。
「今のプーチンは糸の切れた凧と同じ。西側諸国に配慮する理由はなく『二重国籍でもロシアに居る以上はロシア人であり、命令に従わなければならない』という強引な理屈で徴兵する恐れもあります。逆にロシアに居住する二重国籍保有者が外国に逃げてしまわないように、先に招集をかけることすら考えられる。国際ルールなどおかまいなしとなるぐらい、戦況が追い込まれているということでしょう」(軍事ジャーナリスト)
こうした情報が人々の不安を煽り、ロシア国籍でなくても、永住権や在留資格保持者まで眠れぬ夜を過ごしているようだ。
「国際結婚してロシアに居住する日本人もいますし、現地の状況を伝える日本人ユーチューバーも複数いる。また、企業の駐在員も僅かながら現地に残っています。先日は日本の領事が拘束されましたし、何が起こるか分からないのが今のロシア。外国人といえ楽観視できる状況でないのは確かです」(同)
80年近くありえないと思われた核兵器の使用が現実味を帯びる中、外国人居住者の徴兵も絶対起こらないとは限らない。戦況悪化でテンパるプーチンには、もはや常識も通用しないのかもしれない。