巨人がドラフト1位で入札する選手名をあえて公言した。高校通算68発、今夏の甲子園でも打率7割、3本塁打と活躍した高松商・浅野翔吾外野手(17=右投両打)である。
「浅野クンは甲子園大会中、対右投手でも右打席に立っていました。巨人が右打ちのスラッガーか、外野手を探しているとの情報は以前から流れていました。強打、俊足強肩の浅野クンはうってつけの存在です」(アマチュア野球担当記者)
今年の巨人のスカウト活動はベールに包まれていた。他球団は、具体的な選手名は伏せながらも「1位候補を何人くらいまでに絞り込んだのか」ぐらいは教えてくれたが、巨人は違った。スカウト会議の日程すら明かされなかった。
それが、一転して他球団より先んじての公表だ。これも作戦の一環だという。
「1位選手の指名重複を嫌う球団も少なくありません。抽選で外れ、再入札になったときのダメージもあるからです。とくに今年は1位指名に相応しい選手が少ないとされ、『本来なら将来性を買い、3位以下で指名する選手を1位に繰り上げる年』とこぼすスカウトもいました」(球界関係者)
浅野は数少ない“1位指名に相応しい選手”である。しかし、こんな情報も聞かれた。
「阪神の新監督に内定した岡田彰布氏が阪神OBのYouTubeチャンネルに出演し、『右打ちの外野手がいたらラクになるでぇ〜』と、現有戦力を分析していたんです」(在阪記者)
となれば、CS進出権を争っている阪神と、ドラフトの舞台でも“番外戦”を繰り広げることになりそうだ。
巨人・原辰徳監督と岡田氏は、同世代。伝統の一戦を盛り上げたライバル同士が「浅野の交渉権」を巡って対峙するとしたら、ドラフト会場が盛り上がるのは必至。プロ野球関係者からは「浅野クンは一軍に置いて鍛えるべき」との声も聞かれたが、GT決戦を盛り上げた右打ちのスラッガーである原監督と岡田氏は、どんな育成ビジョンを描いているのだろうか。
(スポーツライター・飯山満)