ロシア、国境に入隊所設置で逃亡者を許さず!ついにプーチン氏自ら軍を指揮か

 ロシアのプーチン大統領が21日に部分的な動員を発表して以来、ロシア各地で連日抗議デモが起こり、すでに2000人以上が拘束されているという。

 複数の独立系メディアによれば、ショイグ国防相は、30万人の予備役を招集すると説明しているものの、実はその数は最大100万人とも言われ、実際すでに軍隊経験のない者や高齢者、さらには障害者などに対しても招集が始まっているという。

 そんな中、モンゴルやカザフスタンに入る国境や、ジョージアとの国境付近では、招集を逃れようとするロシア人男性らによる長蛇の列が出来ている。ところが、ロシア政府当局は近く、この付近に陸軍の入隊所を開設すると発表。つまり、ここで「動員年齢の国民」に対して召喚状を渡すというのである。軍事ジャーナリストの説明によれば、

「この発表について27日、カザフスタンのトカエフ大統領は『絶望的な状況から逃れてきたロシア人の安全と福祉を守る』とコメント。ロシア国防省も、招集を避けるために国外に渡ったロシア人の身柄引き渡しを求めない考えを明らかにしていますが、裏を返せば、既に国外に逃げた人間は仕方がないが、もう誰も逃がさないからな、と宣言しているようなもの。なお、サンクトペテルブルクや東シベリアのイルクーツクの入隊事務所では、火炎瓶が投げ込まれたり、押し入った男が職員を銃撃する事件が発生。今後は、国境検問所周辺でも逃亡を図る人々と治安当局がぶつかる可能性が高くなったということです」

 ただし、ロシアが仮に目標の数の兵士を確保できたとしても、デモ隊や国外逃亡を図ろうとした“戦争を嫌がる”者を戦場へ送り込んで、はたして「兵士」としての任務を果たせるものだろうか。

「現在、ロシア軍予備役は200万人以上。ただし、日常的に訓練を受けている者はほとんどいないとされます。通常、新兵を訓練するには数カ月の時間を要しますが、軍務経験者ならば訓練期間を短縮できるため、さしあたっては経験者を1〜2カ月ほどの訓練でウクライナに送り込むつもりなのでしょう。ですが、経験があるだけでプロではありませんからね。戦闘能力は低く、それが現在のロシア軍を撤退させた最大要因でもあるのです。にもかかわらず、今後さらに30万人の兵士を訓練し、武器を与え、配備するとなれば、現在戦地で指揮命令系統を担う兵士は軍務契約を延長し、帰還させずに引き続き戦わせなくてはならなくなります。当然、現地の軍隊にとっては大きな負担となるため、士気低下を招くことは必至。そんな前線に、もともと士気が低い新兵を無理やり送り込むわけですから、どうなるかは火を見るよりも明らかです」(前出・軍事ジャーナリスト)

 一方で、複数のメディアの報道によれば、24日に物資補給の担当だった国防次官を解任したプーチン氏は、今後自身が直接指揮を執り、ウクライナ国内にいる将官たちに自ら命令を下し始めたというのだ。

「米当局者はCNNの取材に対し『ロシア政府における指揮系統の機能不全が深刻化している』と語っていますが、戦術、作戦、兵站はあくまでもプロの軍人が担当すべき領域。過去、政治家が関与して成功した例はありません。なぜなら、大統領や首相が安易に軍を使えば、現場からトップに至る何重ものチェックが省かれることになり、また新たな軍の派遣などで議会の承認手続きが省かれてしまう恐れがあるからです。いよいよロシア破滅の足音が近づいてきたことを、感じざるを得ませんね」(同)

 現在、ロシアのヴァルダイ湖付近にある「秘密の別荘」で心身を休めているという大統領だが、その間にも国民のプーチン離れは加速するばかりのようだ。

(灯倫太郎)

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