現在、多くのスーパーやコンビニで導入しているセルフレジ。全国スーパーマーケット協会によると、20年時点での設置率は15.8%。ただし、コロナ禍で従業員との接触を減らすために導入した店舗が一気に増え、現在は普及率が大幅に上昇しているとみられる。
商品のスキャンや袋詰めをお客が行うことで人件費が削減できると言われていたが、必ずしも期待した通りの効果が得られているわけではないようだ。
「認知度は100%に近く、LINEリサーチが今年3月に発表した10〜50代男女のセルフレジ利用率も78%と非常に高い。ただし、調査対象には含まれていませんが、現場からは『60代以上のシニア層からは敬遠されている』と話す店舗関係者も多く、チェーン系スーパーなどではそれを裏付ける内部データも出ています」(流通ジャーナリスト)
とはいえ、業界で本格的に導入されてからまだ日が浅く、徐々に浸透していく可能性は高い。だが、その一方でセルフレジ導入により新たな問題も。むしろ、こちらのほうが厄介だという。
「万引きです。セルフレジで商品をスキャンしたフリをして、そのまま袋詰めして持ち去る被害が全国的に続出しています。一部の商品だけバーコードに指を被せてわざと反応しないようにすれば、店側にバレても言い訳が可能で万引き犯と断定できません。多くの店舗ではセルフレジコーナーに店員を配置したり、防犯カメラで監視していますが見極めは困難。それに盗んだ商品を隠す従来型の万引きより方法も簡単で、被害が多くコスト削減どころか逆効果になっている店舗もあります。実際、『できれば撤去したいけど…』なんてボヤく関係者もいるほどです」(同)
セルフレジの導入は皮肉にも万引きの手口を巧妙なものへと進化させてしまったようだ。