「セルフレジ全店導入」を前倒し!「くら寿司」が“従業員削減”を急ぐワケ

 回転寿司チェーン大手の「くら寿司」は今年10月から一部店舗でセルフレジを導入し、来年10月までに全店舗への導入を予定していることを明らかにしており、入店から退店まで一度も従業員と接することなく利用出来る”完全セルフ化”が実現する。

「同チェーンは1996年から皿カウンター回収システムを導入していて、席の予約はスマホやPCから可能で、注文はタッチパネル方式を採用。メニューはもちろんレーンに乗って運ばれてくるので、セルフレジを導入することによって従業員との接触は完全にゼロとなるのです。もともと、完全セルフ化は2025年までに導入する予定だったそうですが、新型コロナウイルスの影響で急遽、前倒しすることを決めたといいます」(飲食業界関係者)

 ただ、これにネット上では、《完全セルフ化しなくても、マスクをした店員と接触することがそんなに怖いとは思わないが…》《セルフも結構だが、衛生面を考えると従業員を減らしてほしくない》《個人的にセルフ化は大賛成だけど、やっぱり衛生面が気になるよな…。厨房にはきちんと目配りしてほしい》などの意見が見られた。

「くら寿司といえば昨年1月、アルバイト従業員がゴミ箱に投げ捨てた魚をまな板に戻す動画が拡散されて書類送検されるという、いわゆるバイトテロのことを覚えている方も多いでしょうし、どうしても衛生面は気になりますよね。しかもこの事件以降、同チェーンでは客離れが深刻化しており、今年も新型コロナの影響で既存店売上高は3月以降一度も前年同期を上回ることができず、マイナス成長が続いています。そのため、人件費を削減するためにも完全セルフ化を急ぎたかった部分もあるのかもしれません。ただ、完全セルフ化は、デジタル機器に不慣れな高齢者が敬遠する可能性も孕んでいることから、従業員の配置には気をつける必要があるでしょうね」(経営コンサルタント)

 完全セルフ化が吉と出るか凶と出るか。

(小林洋三)

ビジネス