牛丼チェーン「すき家」のセルフレジを使用した、あるツイッターユーザーが《これ非常に残念でなりません。飲食において、お金を受け渡すことこそ一番大事な行為のはずなのに》とつぶやき、1万件以上のリツイートと5000件以上の“いいね”が付くなど、大きな話題となっている。
「『すき家』は17年7月から一部店舗でセルフレジの導入を始めました。その結果、人件費の削減やレジ待ち時間が短縮されたり、お釣りの渡し間違えがなくなったりと多くの利点があったといい、現在は多くの店舗で採用されています。セルフレジの使い方はいたって簡単で、店員に伝票を渡せばディスプレイに支払い金額が表示されるので、お金を投入し、お釣りと領収書を受け取れば終了となります」(社会部記者)
店側にも客側にも利点の多いセルフレジだけに、冒頭のつぶやきには《牛丼屋にどこまで求める気だよ》といった批判的な意見も見られたのだが、《私も同じことを思ってました》《お金のやり取りをするのは大事なコミュニケーション》《確かに何もかもセルフになると味気ないよな》など、賛同する意見も少なくなかった。
「このツイートをした投稿者は30代だそうですが、実は、こうした機械化の波に批判的な意見を持つのは高齢者だけでなく、若者にも多いと言われています。核家族化や近所付き合いの減少、スマホの普及などで若者のコミュニケーション能力の低下が叫ばれていますが、その一方で多くの若者がSNSを利用し、他人からの“いいね”を求めている。もちろん、セルフレジや券売機には防犯面や衛生面においてもメリットがあり、客単価500円ともいわれる牛丼チェーンにどこまで求めるかという意見も当然あると思いますが、『券売機を置かないことで、お客さんとのメンタルな繋がりを大事にしていきたい』との方針だった吉野家が今年に入って売上を伸ばしているという点からも、コミュニケーションの重要性は見過ごすことができないのではないでしょうか」(経済ジャーナリスト)
便利ばかりが必ずしも良いとは限らないのかもしれない。
(小林洋三)