どうやら「現役ドラフト」制度は見切り発車となりそうだ。日本野球機構(NPB)と、同制度導入を強く求める選手会側との事務折衝が行われたのは、8月31日。この事務折衝後、選手会の森忠仁事務局長は、
「あとは球団が選手を選ぶということなので、どのような選手が出てくるか注目したい」
こう語って、目標だった今年度中の実施が可能となったことに安堵していた。だが、問題はまだ山積しているようだ。
「第1回目の現役ドラフトは12月に行われることになりますが、このままだと、実施後すぐに修正や変更の話し合いになりそうですね」(ベテランプロ野球担当記者)
「即修正」が懸念される理由は、実施が12月という点にあるという。
「トライアウト選手の問題です。トライアウト終了後の12月に現役ドラフトをやることになれば、トライアウトを受験した選手に球団がオファーを出す時期が大幅に遅れることになるでしょう。戦力外を通達されたトライアウト組よりも保留者名簿に残った『現役ドラフト組』のほうが実力は上。となれば、球団は現役ドラフトの選手を優先して考えるからです」(前出・ベテラン記者)
また、保留者名簿には最大70人までしか載せられない、という問題もある。どの球団も主力選手の故障等を恐れ、「3~5人の空き」を設けておき、年越しを迎える。現役ドラフトとして「1人以上の指名」が義務づけられれば、さらに「空き」を設けておかなければならないので、その分、戦力外や育成落ちとなる選手数を増やすことにもなりかねない。さらにー。
「今オフは、日本ハム以外でもノンテンダーを通達する球団が出てくる可能性が高いと言われています。高額年俸に見合わない中堅やベテランがノンテンダーを通達された場合、彼らは再起に懸ける分、低年俸でも契約する可能性が高く、他球団の食指が動くでしょう。となると、ここでも現役ドラフトの選手とのバッティングが起きてしまう」(球団関係者)
他の補強に影響を与えてしまうこともあり、現役ドラフトの12月スタートは、まだまだ波乱含みと言えそうだ。