日本プロ野球界も「現役ドラフト制度」が導入されるという。出場機会に恵まれない選手に新たな活躍の場を与えられるよう選手会が求めていた仕組みだが、NPB関係者によれば、今オフの12月の実施を目指しており、その主導権を握っているのは「阪神」とのことだ。しかし、新制度導入で手痛い目に遭うのも、阪神かもしれない。
「当初、この制度の導入に強く反対していたのが巨人でした。巨人が反対したため、導入は難しいと見られていましたが、最終的に阪神の説得に折れて…」(球界関係者)
現役ドラフトは「ブレークスルードラフト」とも称され、12球団で協議してきた。プロ入団後、一定の期間内に一軍登録がなかった中堅、若手を各球団がリストアップして、再びドラフトに掛けるものだが、この制度導入にあたって選手関係委員長としてNPBで尽力してきたのが阪神・谷本修球団副社長である。
「谷本氏は今年4月、本社に栄転で帰還すると聞いています。野球界への置き土産みたいなものでしょう」(同)
巨人が反対してきた理由は、「ウチは選手を飼い殺しにしない」という姿勢。原辰徳監督が復帰してからがとくにそうだが、移籍して出場機会が増えると判断した選手は惜しみなく放出してきた。新制度導入でさらにチャンスが拡大すると言われ、かつ阪神以外の10球団も賛成したとなれば、巨人も折れざるをえなかったのだろう。
「巨人、ソフトバンクのように育成選手の多いチームは標的にされそうです」(スポーツ紙記者)
いや、標的とされるのは、むしろ阪神のほうではないだろうか。こんな情報も聞かれた。
昨季、阪神2軍はファーム日本一に輝いたが、その主力メンバーは20代後半ばかり。将来を嘱望されながら伸び悩んでいて、今春キャンプ中も「使わないのなら」と、何人かの中堅選手にトレードが申し込まれたそうだ。成立に至らなかったのは、交換要員で折り合いがつかなかったのではなく、“出し惜しんだ”からだという。新制度導入のあかつきには、髙山俊、江越大賀、板山祐太郎、熊谷敬宥、北條史也らが、ゴッソリと引き抜かれてしまいそうだ。
「他球団で活躍されたら大恥ですからね」(同)
一軍登録されなかった日数、プロ入り後の年数など対象者の詳細はこれから詰められるが、新制度導入後、阪神の育成状況が疑われて、アマチュア球界から敬遠されるなんてことにならなければいいのだが…。
(スポーツライター・飯山満)