ロシアは現地時間の7月26日、国際宇宙ステーション(ISS)プロジェクトから脱退して、独自のステーション建設に着手すると発表した。
ロシアの宇宙開発公社「ロスコスモス」の代表が「24年以降に脱退して、28年には独自のステーション建設に着手できる」とプーチン大統領に報告。プーチン氏は「素晴らしい」と答えたという。
全国紙記者が言う。
「ISSはアメリカのNASA、ロシアのロスコスモス、日本のJAXA、欧州のESA、カナダのCSAの5つの宇宙関連組織で共同運営されてきたプロジェクトです。ところが米露間の関係が悪化し、21年段階で既にロシアは25年に脱退して30年までに独自のステーションを建設するとしていました。ところが、ロシアのウクライナ侵攻による制裁でより関係が険悪なものになった。ISSはソユーズロケットの推進力で制御が維持されてきたことから、制裁直後のロシアは『ロシアの支援がなくなればどこに落ちても知らない』といった脅しもしていましたね」
こうして当初の予定より1〜2年、脱退が早まったのだ。
また、これまでロシアは、有人輸送で宇宙飛行士1人当たり117億円の収入を得ていたのだが、イーロン・マスクのスペースXがISSへの有人移送サービスを始めたことで、これまでのような巨利が得られなくなる。
国際社会との関係悪化と、旨味を失ったロシアはついに脱退する時期を早めたというわけだが、制裁が長引いて半導体を始めとする先端技術やその部品までも手に入らなくなるロシアに、宇宙開発で勝算が立つ見込みは決して高くはない。
それとも宇宙船に使われるアルミニウムといった資源目当てに、またどこかの国に戦争を仕掛けるのか…。