新加入左腕・クロールが来日初日にブルペン入りする巨人の「緊急事態」

 補強ポイントは中継ぎ投手陣だけではないはず…。7月15日、原巨人は育成から支配下選手に再登録したばかりの井上温大を一軍登録させた。前日にはベテラン・中島宏之を抹消し、リリーバーの菊地大稀を登録しているので、一軍登録31選手中、「15人が投手」という偏った編成になってしまった。

「井上はファームでは先発で頑張ってきました。『先発デビュー』も考えられましたが、当面はリリーフで起用されるようです」(スポーツ紙記者)

 また、井上の昇格が決まった15日、ジャイアンツ球場では緊急獲得した左腕リリーバー、イアン・クロールがブルペン入りしている。関係者によれば、クロールの来日は同日の早朝便。「午前10時ごろには球場入りしていた」とのこと。顔見せだけではなく、投球練習を行ったところからして、次のヤクルト3連戦(18日)、前半戦最後の対戦となる中日3連戦からの一軍合流を予想する声も聞かれた。

「クロールの一軍登録は後半戦からとみられていましたが、ブルペン入りしたくらいなので、早めに初登板させるのでは? 原監督は『一つでも多く勝って、球宴休みに』と考えています」(球界関係者)

 巨人のチーム防御率は3.93だが(16日時点)、救援投手の防御率はさらに4点台に跳ね上がる。いずれの数値もリーグワーストだ。クロールの異例のハイペース調整もその影響だろう。

 しかし、巨人の弱点は救援投手陣だけではない。
 
「象徴的だったのは勝率5割を切った14日の阪神戦。2試合連続の完封負けで、7試合連続、67イニングもタイムリーヒットが出ていませんでした」(前出・スポーツ紙記者)

 キャプテン坂本勇人の不在も大きい。打線低迷なら、中島の降格は逆効果だ。また、失策した中田翔を懲罰交代させた試合もあった。

 原監督は感情で起用法を変える指揮官ではないが、救援陣強化のために“攻撃力”を目減りさせてしまったように思える。

「先取点を奪われると、そのまま負けてしまう傾向も気になります」(前出・球界関係者)

 先制点を奪われた試合は大きく負け越しており、3回終了時点でのビハインドゲームの勝率も1割台と極端に低い。

 原監督が探しているのは、単に左腕リリーバーを補充しているのではなく、チームの雰囲気を一変させてくれるキーマンであり、そのために慌ただしく選手を入れ替えているのかもしれない。

(スポーツライター・飯山満)

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