マルテ緊急昇格は抹消・大山の穴埋めではなかった!? 矢野監督を悩ませる「お家事情」

 プロ野球も“会社組織”ということか? 7月13日の巨人戦で、矢野燿大監督は同日に1軍復帰したジェフリー・マルテを「5番・一塁」でスタメン起用した。

 大山悠輔が新型コロナ濃厚接触者のため抹消となり、その抜けた打順、守備位置にそのままマルテを入れたのだが、時系列で整理してみると、首を傾げたくなる箇所がいくつかあった。どうやら、マルテは大山の代役として昇格したのではないようだ。

「大山が濃厚接触者と認定されたのは、13日の午前中でした」(在阪メディア)

 12日の同カードで、大山は2打数1安打2四球。この時点では“元気”だった。しかし、チームは今季17度目の完封負けを喫してしまった。

「試合後のインタビューで矢野監督はいつもと違って、厳しめのコメントで野手陣に奮起を促していました。マルテ昇格が明言されたのも、そのインタビュー中です」(同)

 つまり、マルテ昇格は「得点力アップのため」であり、大山の離脱とは関係がなかったのである。

 打撃陣の強化といえば、同日は緊急獲得したアデルリン・ロドリゲスの入団会見も行われている。その後、甲子園球場近くの室内練習場に移動し、遠征から外れた二軍メンバーとともに打撃練習で汗を流していた。

「2020年シーズン、オリックスに在籍し、日本球界のことを知っているとはいえ、ロドリゲスの即一軍昇格は考えられません。でも、打線強化で昇格させるのなら、マルテではなく、ロドリゲスのほうだと見られていました」(球界関係者)

 その12日、マルテはファーム戦で4打数2安打、レフト席後方に消える場外アーチも放ち、完全復活をアピールしていた。平田勝男二軍監督は、「これで明日もここ(二軍)にいたら、ねえ?」と、トラ番記者たちに話していたという。

「マルテは5月に右足を故障し、それがロドリゲス獲得のきっかけにもなりました。矢野監督は『一塁・ロドリゲス、左翼・大山』の布陣も口にしていました」(前出・在阪メディア)

 実は、マルテとロドリゲスは“元同僚”だった。メッツ傘下のマイナーで新人時代をともに過ごし、自身の代役で元同僚の入団が決まったと知り、発奮していたのである。

「13日の試合前の一軍練習にロドリゲスも参加しました。緊急獲得とは、その選手を使うということ。でも、マルテに関しては平田二軍監督の強い推薦があり、上も断りきれなかったみたいだ」(球界関係者)

 大山には1日も早く復帰してもらいたい。しかし、濃厚接触のことがなければ、大山、マルテ、ロドリゲスと戦力を無駄に重複させてしまうところだった。当然、ロドリゲス昇格後は外国人選手枠の問題も出てくる。

 平田二軍監督の強い推薦、渉外担当者のメンツ、外国人選手の出場登録…。「組織」のことで矢野監督にも悩みが多そうである。

(スポーツライター・飯山満)

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