落語家の立川志らく(58)が6月26日放送の「そこまで言って委員会NP」(読売テレビ)に出演。23日に施行された、大人向けビデオへの出演を強要される被害などを防ぐための「出演被害防止・救済法」(以下、新法)について、まだまだ不十分であるという持論を展開し、視聴者の間で賛否両論を巻き起こしている。
番組では「新法」の内容について、十分か不十分であるかを出演者たちが徹底討論。同法案が検討されたのは、成人年齢の引き下げにより、新たに成人となった18歳と19歳が出演を強要される被害が懸念されたことがきっかけ。現場に迅速に対応するものとして「とりあえずは十分だ」という意見が出る中で、志らくはさらに一歩踏み込んだ持論を展開する。
志らくは「私は、(艶ビデオ)観たこと無いのかって言われたら、観たことあるけどね。だけども、なくていいんですよ、この仕事は。先程ね(スタジオ出演者の発言の中で)こういったことにも誇りを持っている女優さんがいると。その誇りを持っていることは否定はしない。その人がそれで命がけで生きてきたんだから。映画で殺人は実際にはしないけど艶ビデオは本番やってる。そこに昔の日活ロマンポルノみたいに、ちゃんとした美学があったりね、いろんなものがあるならばいいんだけど、本番しなくたっていいじゃないですか。別に本番じゃなくて、それなりの芝居をして作れば良い。本番やってるって、その人の、女優さんの親が観たら、なんと思う?」と出演者への理解を見せながらも、本番行為を生業とすることに疑問を投げかけた。
さらに艶系ビデオという仕事がなくてもいいという持論の理由付けとして「そういうこと考えたらば、その仕事があるから。だって昔はそんな仕事は無かったわけでしょ。それが吉原だとか、そういったものにあって、そこに生活の事情やなんかで売られちゃった人もいた。だけどそれは生活の事情だろうがなんだろうが良くないことだといって、昭和33年3月31日、売春防止法っていうのができて、吉原がなくなった。なのに、なんでこれがあるの?」と、“売防法”が完全施行されるまでの経緯と重ね、そもそも艶系女優という職業があることを糾弾した。
志らくの発言に対しSNS上では《職業差別が酷すぎる。もし落語という仕事がなくてもいいと言われたらどう思うんだ?》《娘が出てると知ったら、親は悲しむよね。志らくに同感》《そのものをなくていいとかいう意見は綺麗事。あることを認めた上で被害者を最低限にすべき問題》と視聴者らは賛否両論に。さらに志らくのTwitterには当事者である出演者から《女優として抗議します。私たちは“売り”をしていません。女優もあなたがたと同じ演者であり表現者です》と猛反論ツイートが寄せられていた。
業界に物申した志らくだったが、番組終了間際には「うちに帰って観ます」という一言で締めくくっていた。志らくに女優たちの声は届くのだろうか。
(浜野ふみ)