韓国保健福祉部が、世界保健機関(WHO)などの勧告や諸外国の動向などを考慮し、一部条件付きで屋外でのマスク着用義務緩和を発表したのは、4月29日のこと。屋内でのマスク着用義務は引き続き続けられるものの、原則的には屋外でのマスク着用義務が免除された。
それから1カ月半が経過し、徐々に街中にもマスクを外して歩く人々の姿が見られるようになった。だが、ソウル市内の人が集まるエリアでは、相変わらず大部分の人がマスクを着用しているのが現状のようだ。
そんな中、いかにも韓国らしい、思わぬ「コロナ特需」が起きているという。
「それは“駆け込み整形”です。容姿が就職にも影響するといわれる韓国では、表面上『男女雇用平等』をうたっているものの、実際には求人広告に『容姿端麗』という意味の文言を堂々と入れて募集したり、履歴書に身長・体重の記入を求めるところもあります。そうしたことからも、容姿を変えることに対するハードルが日本などに比べて低いように思われます。しかも、ドラマやK-POPの人気にともない、多くの企業が韓流スターを起用。『K-Beauty』と打ち出したことで国全体の美容レベルが上がり、世界からも韓国の『美容整形』が注目されるようになりました。韓国では歯医者に行く感覚で整形外科に行くとも言われ、美容整形が当たり前になったとされています」(韓国在住のライター)
そんな背景もあり「美容整形」需要は拡大していたのだが、さらにそれを後押ししたのが、新型コロナ感染防止のための、マスク着用だった。
「韓国における美容整形の魅力は、費用が安いわりには整形技術が高いこと。とはいえ術後に症状が安定するまで、ダウンタイム休暇を取らなくてはなりません。ところが、コロナのおかげで在宅勤務が増え、人と会わずに済むようになった。また、外出しても大半の人がマスク姿のため、整形したことがバレずに済むことで、今のうちに手術してしまおうと考える人が増えたのです」(同)
韓国でも「緊急災害支援金」というコロナ給付金が政府から全国民に支給されているのだが、百貨店や大型スーパーなどでは使えないものの、病院は対象内。そのため、美容外科クリニックの中には『支援金使用可能』と広告で大きく謳うなどして、大盛況だという。
来るべきマスクなしの日常の前に、支援金で美容整形を受けよう…今回の“駆け込み整形”需要にはそうした背景があったようだ。
コロナ禍が収まった頃には、美人が増えているかも知れない。
(灯倫太郎)