中国VS日米同盟「10.1台湾有事」シミュレーション【4】長崎・佐世保基地も危ない

 国際社会から孤立した中国の反撃の一手。それこそ、在日米軍基地への攻撃にほかならない。もはや、事態は台湾有事のスケールを飛び越えた「米中戦争」の局面に移行する。

「まず、日本の東京や大阪をはじめとする都市が狙われる危険性は薄い。現代の戦争で攻撃するのは、互いの攻撃拠点というのが基本原則。となれば、真っ先にミサイルで狙われるのは沖縄の嘉手納基地でしょう。台湾まで、戦闘機で約30分に位置する空軍基地は相手からすればうっとうしい存在です。同様に山口の岩国航空基地や宮崎の新田原基地が標的候補となります」(軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏)

 同時進行でターゲットになるのは軍港だが、

「おそらく、米軍第七艦隊の司令部となる旗艦『ブルー・リッジ』を置く横須賀基地は標的から除外されているはず。ほぼ首都圏にあたるだけに、上海や北京への仕返しを覚悟する必要がある。むしろ、警戒すべきは長崎の佐世保基地。同じ第七艦隊管轄でも地方にありますからね」(台湾在住ジャーナリスト)

 同様の理由で、米国本土への直接攻撃も考えにくい。

「射程距離で考えれば、大陸間弾道ミサイルで西海岸やハワイは狙える。が、中国にその度胸はない。言わずもがな核兵器も同じです。そもそも、現代の戦争で核兵器を使用する想定はない。例えるなら、不良同士の殴り合いで殺傷能力の高いナイフが禁じ手なのと同じ。もし、使ってしまえば、都市壊滅のしっぺ返しに加えて、国際社会から未来永劫、後ろ指を指されることになります」(国際部デスク)

 まさに万策尽きた台湾有事は、結局、中国がリードしたのは序盤戦のみとなるはずだ。友軍の助けもあって、ダブルどころかトリプルスコアで勝負は決した。それでも、中国には台湾統一を断念できない事情がある。

「習近平は、2035年までに中国軍の現代化を厳命して、49年には『世界有数の強国』を目指すと宣言。通信システムに課題はありますが、ミサイルやAIの分野においては、世界に先んじた技術力を持っている。台湾のみならず東アジアを制圧するのは絵空事ではないはずです」(台湾在住ジャーナリスト)

 残念ながら10年、20年先を見据えれば、今回のシミュレーションはすっかり様相が変わっていることも考えられる‥‥。

*「週刊アサヒ芸能」6月16日号より

ライフ