中国VS日米同盟「10.1台湾有事」シミュレーション【1】内部文書に「軍事介入の日」

 ロシアが兄弟国のウクライナに侵攻したように、中国が「祖国統一」を掲げて台湾に攻め込むXデーが現実味を帯びてきた。人民解放軍が戦端の火蓋を切れば、アメリカ軍は「台湾防衛戦」に本格介入。同盟国の日本も対岸の火事では済まされない。陸海空で展開される緊迫の戦況を緊急シミュレートする。

 失言か、あるいは計算ずくなのか。5月23日の日米首脳会談で飛び出したバイデン米大統領(79)の発言が、極東アジアに緊張感をもたらしている。国際部デスクが解説する。

「岸田文雄首相(64)との共同記者会見で、日本記者団の『中国の台湾侵攻に米国が軍事的に関与する意思があるか?』という質問に、『イエス、それが我々の約束した責務だ!』と威勢よくGOサイン。79年に米国では、武器輸出などで台湾の自衛に協力する『台湾関係法』が制定されましたが、あくまで軍事介入を確約した法律ではなく、中台対立における米国のスタンスは〝あいまい戦略〟に終始していた。すぐさまホワイトハウスが『台湾を巡る政策に変更はない』と火消しに動きました」

 振り返れば、ロシアの侵攻が始まる前にバイデン氏が「軍事介入しない」と宣言したことが、現在のウクライナ情勢の発端だと指摘する声は多い。軍事ジャーナリストの井上和彦氏があとを引き取る。

「昨年のアフガニスタンの米駐留軍撤退を含めて、バイデンの〝弱腰姿勢〟に米国内外から批判が集中しています。その汚名を払拭するための発言だった可能性が高い。そもそも、台湾をめぐるバイデンの失言は大統領就任後3回目。その都度、政府が釈明する流れはお約束になりつつある。それでも、軍事オプションを強調した今回の発言が、中国への牽制になったのは事実ですが‥‥」

 一方、中国も言われっぱなしでは収まらない。5月24日に日本海と東シナ海上空でロシアと合同空軍訓練を実施。30日にも、台湾の防空識別圏に中国戦闘機など30機を侵入させて抗議の意思を示した。一連の不穏な動きから「台湾有事」へ発展する可能性はあるのか。

「ロシアのウクライナ侵攻の苦戦模様や国際社会からのハレーションから、今すぐ台湾に軍事介入することはないでしょう。ただし、そのハードルは決して高くないと考えています。というのも、かねてから中国は台湾を自国の領土と主張していますが、それを建前とはいえ、国際社会は黙認してきた。つまり、もとから中国の内政問題として口出しできない土壌がある」(井上氏)

 さらに、近年の中国国内では、「ゼロコロナ政策」に起因する経済成長率の鈍化で、習近平国家主席(68)の権力基盤に歪みが生じているのは明らかだ。

「内政への批判を外に向ける公算は大きい。そのスケープゴートに台湾有事が利用されるのは、想定しうる事態です」(井上氏)

 今や開戦のXデーまでが囁かれている。台湾在住ジャーナリストが耳打ちする。

「今年の年初に、台湾侵攻を強く匂わせる内部文書が中国国内に出回りました。中国観測筋によれば、22年10月1日の建国記念日を軍事介入の初日に設定しているんです。ただ、今のウクライナ情勢は考慮されていなかった。結局、計画は先延ばしされたかもしれませんが‥‥」

 最後の一線で踏みとどまってほしいものだが‥‥。

*中国VS日米同盟「10.1台湾有事」シミュレーション【2】につづく

ライフ