パ・リーグは投手に代打を送るのがヘタ!? 交流戦セ・リーグ優勢の要因

 球界に異変だ。6月5日終了時点でセパ交流戦は、39勝33敗でセ・リーグが圧勝している。昨季もセ・リーグが勝ち越したが、それは12年ぶりのこと。プロ野球ファンには「パ・リーグは強い」のイメージが刷り込まれていたが、昨年に引き続き今年もセ・リーグが優勢だ。一体、何が起きているのか?
 
「交流戦に負け越すと、日本シリーズでもイヤな雰囲気になり、そのままセの覇者が負けてしまう印象がありました」(球界関係者)

 交流戦の勝敗は、やはりダメージが残るようだ。両リーグの特徴を語るうえで必ず出てくるのが「指名打者制(以下=DH)」。ピッチャーが打席に立つセ・リーグと、強打者を打線に1人加えることのできるパ・リーグの野球観の違いが「そのまま勝敗につながっている」と言われてきた。

 そのDH制が今年のここまでの勝敗に影響しているようだ。

 こんなシーンが見られた。ロッテ・佐々木朗希と巨人打線が対戦した6月3日のことだ。5回表、このイニングの先頭バッターは「9番ピッチャー」の佐々木朗希だった。この時点でのスコアは0対4、巨人が主導権を握っており、佐々木の不調ぶりからも、代打投入が妥当だった。しかし、井口資仁監督はそのまま佐々木を打席に立たせてしまい、簡単にアウトカウント1つを巨人サイドに献上してしまった。
 
「セ・リーグがDH制の打順を組むのがイマイチなように、パ・リーグもピッチャーに打順がまわってきたときの対応がうまくありません。井口監督は佐々木の投球が立ち直ることを期待してもう1イニングを投げさせ、また同時に試合途中で無駄に代打を失いたくないと考えたようです」(ベテラン記者)

 このように、ピッチャーに打順がまわったときの対処法も、今季の交流戦の勝敗に影響しているのではないだろうか。

 パ・リーグの主催試合ではDH制、セ主催では9人制。今さらだが、交流戦はそのようなルールになっている。セ・リーグが39勝33敗となったのは、交流戦4節目終了時点。DH制の試合が行われたのは第2節だけで、1、3、4節はセ・リーグ主催の9人制だった。DH制は5、6節に残されており、ここまでパ・リーグは不慣れな9人制に戸惑っていたが、後半6試合でパ・リーグが巻き返してくる可能性は高い。

「かつてはパ・リーグの投手のレベルの高さに圧倒されていました。でも、彼らがベテランの域に達し、若い投手との過渡期にあるのも一因では」(球界関係者)

 セ・リーグが2年連続で勝利した場合、パ・リーグ側に日本シリーズでのマイナス思考が生じるかもしれない。

(スポーツライター・飯山満)

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