すべての料金所がETC専用化へ!非搭載車が高速に乗れなくなる日

 現金では高速道路にも乗れない時代がやってきそうだ。

 今年4月から、東京・埼玉・神奈川の34カ所(うち5カ所は3月から)で、首都高速道路の料金所から現金レーンがなくなりETC専用になった。

 東京では霞が関、代官町、新宿、護国寺、富ヶ谷など。埼玉では戸田東や、戸田西、また神奈川では磯子や横浜駅東口、新山下などがそれに当たるが、20年に国土交通省とNEXCO東日本・中日本・西日本、首都高速、阪神高速、本州四国連絡高速の6社が打ち出した方針によれば、都市部では25年、地方では30年までをめどに、高速道路の料金所をETC専用に切り替えていく予定なのだという。

「理由はとしては、混雑の緩和や将来的な管理コストの削減、さらにはアフターコロナ時代を見込んだ『料金収受員や利用者の感染リスクの軽減』などが挙げられますが、国土交通省調べによれば、20年時点での高速道路におけるETC利用率は98.1%で全体の9割以上。とはいえ、残り1割りはETCを装着せずに高速道路を利用していることも事実。たとえば、メインは近所への買い物などで高速はほとんど利用しないというユーザーの車にはETCの車載機が装着されていない場合も多く、そんななかで踏み切られる『ETC専用化』にユーザーからの不安の声が噴出しているようです」(道路問題に詳しいライター)

 たしかに渋滞緩和等を考えれば「高速道路のキャッシュレス化・タッチレス化=ETC専用化」によるメリットが大きいことは言うまでもない。しかし、ETC非装着車の扱いは現段階では曖昧なままで、現状の料金所はETC専用レーンと有人レーンがあるため、たまにしか高速道路を利用しないユーザーは後者を使うことが多い。

「そうしたユーザーがETCに切り替える際に想定されるのがETCカードの挿し忘れなどのトラブルです。にもかかわらず現場に注意書きとして表示してあるのは、ゲートが開かない場合はバックしたりUターンせずに、インターホンを押して指示に従えという雑な説明のみ。ETCカードを持っていればその場で現金で払えるのか等々、不慣れなユーザーにはわからないことだらけです。結果、パニックになって渋滞を引き起こしたり、あるいは事故を誘発する危険性もある。ですから有人レーンを撤廃する前に、まずは徹底した情報の普及が必要でしょう。それが出来て初めて全面ETC化に踏み切るべきだと思いますね」(同)

 さらに現在、ETCカードはクレジットカードと連動して発行されるケースが多いので、クレジットカードを持っていないユーザーに対する対策も急務だ。

「現在、クレジットカードがなくてもETCを利用できる『ETCパーソナルカード』という高速料金専門のプリペイドカードもあり、これはデポジット(保証金)を前払いすることでカードが発行され、入金額の80%まで通行料として利用できます。ただ、デポジットの下限額が2万円、あるいは残高不足になると一時的な利用停止になるため、それこそ不慣れなユーザーに使いこなせるかどうか。まだまだ問題山積といったところでしょうね」(同)

 2030年まで、あと8年。国交省と高速道路会社には徹底した告知と対応を望みたいものだ。

(灯倫太郎)

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