戦争長期化による景気悪化が市民の生活に深刻な影響を与えているロシア。同国経済省は2022年の経済成長率がマイナス12.4%になる可能性があることを公式文章の中で明かしており、専門家の中には「それ以上にひどくなる恐れがある」と予測する者もいる。しかも、これはロシアだけの話ではないようだ。
91年のソ連崩壊後に独立したのは15カ国。その中で経済的に追い詰められているのは、全土が焦土と化しているウクライナを除けばベラルーシがあがる。旧ソ連圏でも親ロシア派の独裁国家で、ルカシェンコ大統領はプーチン大統領と昵懇の仲として知られている。
だが、ロシアに歩調を合わせた結果、以前から受けていた国際社会からの経済制裁がさらに強化。3月には長期債務の格付けが一気に3ランクも下がり、国内ではデモやストライキなども頻発している。ただし、それ以外の国は特に悪い状況ではないという。
「ロシア語を話す住民が多い中、エストニア、ラトビア、リトアニアのバルト3国は早くから“脱ロシア化”をすすめ、2004年にEUとNATOに加盟。3国で経済面や外交面で連携を図りながら、著しい経済成長を遂げています。また、カザフスタンやウズベキスタン、“第二の北朝鮮”との異名を持つトルクメニスタンなど中央アジアの国々も豊富な地下資源の恩恵を受けて発展。なかでもアゼルバイジャンの首都バクーは“中央アジアのシンガポール”と呼ばれるまでに成長しています」(経済ジャーナリスト)
気になるのは今回のウクライナ戦争の影響。中央アジアは旧ソ連圏国家が多いが、そのあたりはどうなのだろうか?
「ロシアに対して批判こそしていませんが国際社会で孤立するのを恐れ、どの国も巻き添えを食らわないように絶妙な距離感を保っています。しかし、ヨーロッパとウクライナに挟まれたモルドバは反政府派の実効支配地域にロシア軍が駐留し、国内に火種を抱えている状態。農業国なので第二のウクライナと化した場合、最貧国に転落する可能性があります」(同)
勝ち組負け組になるのは良くも悪くもロシア次第のようだ。