暴君プーチン、がん手術で「指揮権委譲」報道と「宮廷クーデター」の信憑性

 5月9日、ロシアにとって最も大切な日とされる「対ドイツ戦勝記念日」が開催された。ところが、軍事パレードは行われたものの、地上兵器も例年に比べ明らかに少なく、荒天から航空機の登場もなかった。

「しかも、式典最大の目玉とされたプーチン大統領の演説も、結局、自国のウクライナ侵攻を正当化するだけで、事前に予想された『戦争宣言』や『勝利宣言』は一切なし。それが戦果を挙げられないロシア軍の現状をそのまま表しているようでしたね」(軍事ジャーナリスト)

 さらに、複数の米英メディアが伝えるのが、がんなどの病気を抱えているプーチン氏が、対独戦勝記念日を終えた時点で入院、手術。その間一時的ではあるものの、大統領権限を側近の1人、ニコライ・パトルシェフ安全保障会議書記に委託する可能性があるというもので、その信ぴょう性をめぐり波紋が広がっている。

「ロシアの独立系メディア『プロエクト』が、プーチン氏の医師チームの実態を公表したのは4月のことですが、そこには腫瘍外科医らが4年間で35回、計166日間、プーチン氏と過ごしたとの記載がありました。また、英大衆紙デーリー・メール(電子版)によれば、クレムリン(大統領府)の有力者の情報として、プーチン氏は1年半前から腹部のがんとパーキンソン病に罹患しているほか、躁病、統合失調症の症状もあり、医師から4月下旬にがんの手術を受けるように勧められていたとのこと。ただ本人としては、戦勝記念日まではなにがなんでも頑張りたいという思いがあり手術が延期されたものの、さすがに精神的、体力的な限界があり手術に踏み切るのでは、というのです。とはいえ、短期的でも指揮権が委譲されるとなれば、軍の弱体化、あるいは留守中のクーデターも懸念されますからね。そこで、プーチン氏以上の強硬派として知られるパトルシェフ氏をお目付けとして置き、政権維持を目論んでいると伝えられています」(同)

 パトルシェフ氏はプーチン氏同様、ソ連国家保安委員会(KGB)出身でプーチン氏の後継としてロシア連邦保安局(FSB)長官も歴任した人物だが、ニューヨーク・ポスト紙によると、「プーチン大統領よりも、より狡猾で陰湿な人物で、仮に同氏が権力を握った場合、ロシアの問題は増えるだけ」という指摘もある。

「ロシア軍が首都キーウ(キエフ)から撤退、東部ドンバスなどに転じた作戦について、軍上層部からも『重大な誤り』とする声が相当数あるといいます。そのため、軍と保安機関の幹部が、プーチン氏の手術に乗じて“宮廷クーデター”を起こし、プーチン氏失脚…というシナリオも今は絵空事ではない。いずれにせよ、プーチン政権が崖っぷちに立たされている可能性は高く、それが、ウクライナのゼレンスキー大統領が強気の姿勢を崩さない最大の理由になっているようです」(同)

 さて「ウラジーミル最後の日」はやってくるのだろうか……。

(灯倫太郎)

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