尹錫悦大統領、利権の象徴「青瓦台」を一般開放!期待される巨大テーマパーク化

 5月10日に韓国の第20代大統領に就任した尹錫悦(ユン・ソクヨル)氏。この新大統領の誕生と同時に、韓国の首相官邸、ホワイトハウスとも言うべき青瓦台は政治的役割を終えた。ユン氏の公約通り、大統領府を龍山(ヨンサン)の国防部庁舎に移転させたからだ。

「時にホワイトハウスに擬してブルーハウスとも呼ばれる青瓦台は、韓国大統領の絶大過ぎるとも言える権力の大きな象徴でした。だから青瓦台から大統領府を移転させることは、民主的政治を大きくアピールすることになります。ところが主に移転を伴う大統領府改革は、93〜98年の金泳三(キムヨンサム)第14代大統領以来、5人の大統領が公約として掲げつつも実現できなかったことです。前大統領の文在寅(ムンジェイン)氏は大統領就任直後は82%もの高支持率だった一方、直近のユン氏の支持率はわずか41%と極めて低い。それだけに青瓦台の大統領府移転は、政治の刷新という雰囲気作りとしての意味は大きいでしょう」(全国紙記者)

 青瓦台はソウル都心部の北にそびえる北岳山(プガクサン)の麓に位置する。四方を山に囲まれ、東西に漢江(ハンガン)が流れるソウルは風水思想の理想的モデルとされる。だが逆にそれだけに、上からソウル一帯を見下ろす青瓦台のイメージを悪くさせる。しかもバカ広い。敷地は東京ドーム40個分もあって、大統領の執務室と秘書室の距離は500m。普通に歩いて5分以上かかる。つまり現実離れした巨大な宮殿の中で執政がおこなわれるという、韓国政治に付きものの利権の象徴と人々には映る。

 そんな中、今度こそ移転がかなって一般にも開放されるとなったのだから、国民の関心は当然高い。初日の訪問希望者は約9万1000人で、そのうち2万6000人が当選。倍率は3.6倍だ。もちろん観光の目玉としての期待も高ければ、ユン政権の世論浮揚策にも使える。

「政権の移行を準備する引継ぎ委員会では5月10日をにらんで、予約制度といった訪問者向けのシステム作りの準備を進めてきました。そんな中、タスクフォースは韓国国内最大のテーマパークのエバーランドを参考にしようと、エバーランド関係者とミーティングを重ねてきたといいます」(同)

 エバーランドは韓国北西部の京畿道龍仁市にあって、サムスン系列のテーマパーク。来訪者は年間600万人にも及ぶので、これを参考にしようということだ。とはいえ、エバーランドにあるようなアトラクションを作るわけではない。既にして本館や迎賓館、公邸、日本統治時代の朝鮮総督府官邸跡地の庭園など14の建物・施設があり、豊かな自然に囲まれた政治的・歴史的テーマパークでもあるからだ。

 なのでしばらく韓国国内では、新政権の出足と共に青瓦台観光の話題で溢れるだろう。だから入場客の管理が学ばれたわけだ。とくに青瓦台でクラスター発生などとなれば、新体制の先行きにさえ大きなミソが付きかねない。それだけは絶対に避けたいところだろう。

(猫間滋)

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