ロシア軍で戦車が共食い!? 玉川徹氏の戦力分析を専門家がバッサリ

 吉野家元役員の問題発言、ノババックス製の第4のワクチン正式承認、アメリカの航空会社がマスク着用義務撤廃…。4月20日、フジテレビの「めざまし8」が国内外の幅広いニュースを取り上げた一方で、テレビ朝日の「羽鳥慎一 モーニングショー」はロシアのウクライナ侵攻におよそ1時間を割いて徹底解説。軍事的な専門用語が飛び交い、視聴者からは《ついていけない》《いつから軍事ショーになった?》などと疑問の声が噴出している。

 この日、「モーニングショー」に出演したのは、元陸上自衛隊東部方面総監の肩書きを持つ軍事のエキスパート・渡部悦和氏。18日に始まったとされるロシア軍のウクライナ東部への攻撃「ドンバスの戦い」を取り上げ、双方の戦力を徹底比較した。パネルに示されたウクライナ兵の数は19万6600人。対するロシアは90万人。戦闘機の数でも124機のウクライナを1391機のロシアが圧倒している。
 
 平坦なウクライナ東部地域での戦いのカギを握るのが戦車戦だという。戦車数でもウクライナの987両に対してロシアは3417両と大きく上回っている。渡部氏が戦車戦の重要性について一通り解説を終えると、番組コメンテーターの玉川徹氏が疑問を口にする。
 
「情報によるとロシアで2000年以降に生産された、もしくは近代化された戦車というのは1200両くらいある、というふうに言われている」として、ウクライナの戦車は60年代に作られた「T64」であることを指摘。そのうえで「世代の違う戦車同士が戦った場合というのは、戦車戦ではどういうことなるんだろう」と戦車の性能が戦局に与える影響について質問した。

 すると渡部氏は「玉川さんの認識はちょっと私の認識とは違って」と前置きして、ロシア軍の主力戦車について言及。ロシア軍が使用している主力戦車は1970年代に製造された「T72」であるとして、ウクライナの主力戦車も「T72」であると反論。その後、ロシアでは「T80」「T90」が生産されたものの、「そんなに生産されていない」と解説し、その根拠として「今回戦争で出てくるT80、T90の数が圧倒的に少ない」と語り、「戦車の質でいえばT72とT72の戦いになる」と玉川氏の認識を否定した。その後、渡部氏はロシア軍の戦車の問題点を次のように語った。

「あるはずである戦車が、じつは稼働できない非稼働の戦車というのが結構あるんですよ。たとえば実際に見てみたら部品がない、部品が壊れてる。そして私たちは“共食い”と言ってるんですが、ひとつの戦車を成立させるために、他の戦車3両くらいから部品を取ってくる。そしたら今度は(部品を取った)3両が使えなくなる。そういうカラクリが私はあると思っています」

 つまり、玉川氏が主張したロシア軍の1200両もの戦車は、“共食い”によって4分の1もしくは3分の1程度しか稼働できない状況にあるという。専門家がバッサリと否定したことで、玉川氏は首をひねって納得がいかない表情を浮かべていたが、ウクライナの善戦と平和を願う視聴者としては、ロシア戦車の“共食い”は歓迎すべきニュースかもしれない。

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