ウクライナ侵攻が始まって約1カ月。主要都市や原発の制圧が伝えられる中、アメリカのテレビ局が「奇跡の逆襲劇」を報じた。ロシアの戦車部隊を蹴散らす〝援軍〟の正体とは─。
3月上旬、アメリカのキリスト教系のテレビ局「CBN」のニュース番組「The Global Lane」で、ウクライナ現地から驚愕のエピソードが公開された。放送を見た国際軍事アナリストが説明する。
「現地にいるキリスト教のビリーバー(信奉者)の男性に聞いた話として、戦闘に参加していた息子から電話があり『ロシア軍の激しい攻撃に勝てそうにない。みんなで祈ってくれ』と言われたそうです。教会に通う仲間と神に祈りを捧げたところ、謎の飛行物体が現れて稲妻のような光が降り注いだ。翌朝に見たら、ロシア軍の戦車が殲滅されていたと伝えました」
にわかには信じがたい話に番組司会者は「本当かどうかわからないが、神は見ていたんだね」と締めくくったのだった。
時を同じくしてウクライナ各地で謎の飛行物体が目撃され、動画サイトへの投稿が相次いだこともあって、「神やUFOが援護に乗り出した」といった声も聞かれた。
軍事評論家の潮匡人氏に話を聞くと、UFO説を一蹴して、こう説明する。
「軍事用のドローン(無人航空機)だと思います。画像も鮮明ではなく、UFOと言われたらそう見えるだけ。実際、ウクライナ側は主にトルコ製のものを使用して、(CBNの話とは別に)ロシア軍の装甲車に攻撃して成功した映像があります」
トルコ企業が開発した攻撃ドローン「バイラクタルTB2」は、4発の精密誘導ミサイルを積み、連続で24時間以上飛行可能な兵器として重宝されている。
「ウクライナ軍は昨年10月末に東部ドネツク州で、親ロシア派武装集団に向けて初めて実戦使用しています」(軍事アナリスト)
今回の戦局でも大いに役立っているのは間違いないだろう。とはいえ、動画投稿サイトにアップされた飛行物体の謎が完全に解けたわけではなく、「UFO大作戦」には別の狙いも隠されているというのだ。
*「週刊アサヒ芸能」3月31日号より。【2】につづく
※画像は「CBN」が報じた戦車部隊の残骸