この発言は今季の巨人を象徴するものになりそうだ。3月16日の中日とのオープン戦後、ドラ1ルーキー・大勢(関西国際大)が9回最後のマウンドを剛球で封じ込めた。
巨人の新人投手では異例だが、大勢はその重量感あふれるストレートを買われ、リリーバーでスタートすることが決定している。
「リリーバー・大勢」を決断したのは原辰徳監督だが、記者団の「クローザーも?」の質問に、「そういう選択肢も、ないとは言わない」と返していた。
新人の好投に上機嫌ではあったが、プラス材料ばかりではないようだ。
「翌17日、新外国人のマット・アンドリース投手がチームに合流し、『明日、ブルペンに入る』と話していました」(スポーツ紙記者)
アンドリースは、先発を予定して獲得したという。しかし、こんな評価も聞かれた。
「メジャーでは際立った成績は挙げていませんが、移籍する度に『先発で起用すればイニングイーダー(長い回を投げられる先発)になってくれそう』『中継ぎなら、60試合近く投げてくれそう』と言われていました。スイングマンであり、監督の立場からすれば、どこでもこなせるアンドリースのようなピッチャーがいてくれたら、本当に助かります」(在米ライター)
スイングマンとは、先発、中継ぎ、クローザーなどチーム状況に応じて働き場所を変えられる“便利屋”のことだ。その点では原監督からも重宝されそうだが、中継ぎで固定される可能性も高い。
「新人・赤星の先発枠当確は間違いなさそうですが、序盤戦ではいろいろな投手を先発でテストしていく予定」(球界関係者)
巨人にはメルセデス、クローザーのビエイラ、デラロサ、シューメーカーの外国人投手もいて、野手ではウィーラー、ポランコ、ウォーカーもいる。
「ポランコが通用すると分かれば、メルセデス、シューメーカーが先発した翌日に抹消して、他の外国人選手を登録する“投げ抹消”を繰り返していくと思われます」(同)
一軍戦に出場登録できる外国人選手の人数は4人。アンドリースも先発にまわして、「投げ抹消」にすれば、ビエイラとデラロサ、野手2人の外国人選手を試合登録できるが、良策ではないだろう。大勢のクローザー抜擢は、こうした外国人選手の登録問題から「ビエイラを外さざるを得ないケース」に備えてのことなのかもしれない。
アンドリースが救援で適性を発揮した場合、二軍で腐らせてしまう外国人選手も出てきそうだ。
(スポーツライター・飯山満)