本田圭佑以外、ウクライナ戦争に声を挙げる日本人アスリートが少ないワケは?

 ロシアによるウクライナへの軍事侵攻に対し、世界中の人々がSNSで戦争反対や早期停戦を望む投稿を行っており、その中には日本人によるものも少なくない。ところが、日本人の有名アスリートからの投稿はまれ。メディアを介して意見が発信されることも数えるほどだ。

 例えばドイツ・ブンデスリーガのフランクフルトに所属する長谷部誠は2日、オンライン会見で「亡くなったウクライナのサッカー選手のニュースや、子どもたちが被害に遭っていることに心が痛む」と心境を吐露。「この状況はスポーツ選手として一人の人間として、自分が小さくても何か影響力があるのであれば、発言しなければいけないと思っている。1日どころか1分でも1秒でも早く、この争いが終わらなければならない」と語っている。

 今年1月に現役引退を表明した体操の内村航平も3日、ライバルだったウクライナの体操選手・ベルニャエフを心配するコメントを発し、「政治や戦争について立場上、何かを言う権利はあまりない」としながらも、「スポーツにまで影響が及ぶのは非常に悲しいこと」と悲痛な思いを明かしている。

 そして、この問題について最も積極的に意見を述べているのは元サッカー日本代表の本田圭佑で、自らのSNSで停戦の道筋にまで自らの考えを示している。

 一方、プロ野球界では、例えば連日話題を独占する日本ハムの新庄剛志ビッグボスが、ウクライナ戦争についてメディアでコメントすることはおそらくない。もちろん、そのような質問をされないからでもあるが、他球団の監督や選手も同様に、自ら積極的にこの話題に触れることはない。これはプロ野球に限らず、日本の他の競技も同じことだろう。
 
 だが、海外に目を向ければ、世界的アスリートと呼ばれる人たちが競技を問わず、自分の意見や考えを発信している。この違いは一体何なのか?
 
「以前から日本では、政治とスポーツは切り離すべきとの考えから、スポーツ選手が政治や社会問題に口を出すことをよしとしない風潮がありました。ひとりの人間として思うところはあっても、自身の立場を考えれば、その発言が大きく取り上げられます。それを嫌がる選手や関係者が多く、また同調圧力もあると考えられます」(スポーツライター)

 ところが、海外のアスリートは自分の影響力を知っており、だからこそ世のためにそれを使いたいと考える人がいる。そのためか、海外メディアの中には、声を上げない日本人アスリートの対応に不満の声もあるようだ。

「それも理解できますが、日本の場合は発言しないリスクよりも、炎上など発言に伴うリスクのほうが大きい。それに一度コメントすれば、取材のたびに聞かれる可能性が高く、それを嫌がる人もいるでしょう。正直、彼らも辛いと思いますよ」(同)

 責任ある立場だけに、よけいに難しい判断となるようだ。

スポーツ