ウクライナ制圧のその先は…ロシアの次なる標的とは?

 戦火が拡大し、民間人に多数の死傷者が出ているウクライナ。ロシアに対して即時停戦を求めているがこれに応じる気配はなく、同国も徹底抗戦の姿勢を見せている。

 欧米のNATO諸国は欧州全土を巻き込む大戦となることを危惧し、軍隊の派遣には今も否定的。武器や物資などの提供に留めているが、ゼレンスキー大統領は、「ウクライナが陥落すれば、次はラトビア、リトアニア、エストニアです」とロシアの次の標的はバルト三国だと警鐘を鳴らしている。

「実は、この見解には各国の専門家たちの多くが同意しています。ソ連時代の50〜60年代にも民主化運動が起こったポーランドやハンガリー、チェコに軍隊を派遣して鎮圧していますが、西側諸国にとっては当時よりも危機的状況です」(国際ジャーナリスト)

 ちなみにバルト三国でも真っ先に狙われる可能性が高いのはリトアニアとのこと。これには地政学的な理由が関係しているという。

「西側をロシアの飛び地のカリーニングラード、南部から東部をベラルーシと接し、多方面から同時侵攻が可能です。そして、南西部は70キロほどポーランドと接していますが、ここをロシア軍が制圧すればカリーニングラードからベラルーシを経てロシア本土まで陸路で結ばれる。そうなれば残るラトビアとエストニアも孤立化できるからです」(同)

 しかし、バルト三国はソ連時代に長年弾圧を受け、リトアニアの首都ヴィリニュスにはかつて人々から恐れられたKGBの本部もあった。そのため,民衆からの激しい抵抗が確実視されており、しかもバルト三国はウクライナと違ってNATO加盟国。現在のように武器と物資の支援のみにはいかず、派兵となれば欧州全土を巻き込む第三次世界大戦に発展しかねない。

「今のプーチン大統領は何をしでかすかわからない状態。バルト三国だけでなくポーランドやロシア本土と国境を接するフィンランドも危機感を抱いているはずです。また、脅威の度合いは下がりますが、北海道に侵攻するという可能性もゼロとは言えません」(同)

 日本にとっても決して他人事ではないのだ。

*画像は旧KGB本部

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