エース菅野は開幕投手か第2節まで温存か? 桑田コーチの手腕やいかに

 真のエースはどっちなんだ? 巨人・春季キャンプの打ち上げ日でもあった2月25日、菅野智之投手がシート打撃に登板した。桑田真澄投手チーフコーチは「今日の手締めが自分のなかでリミットだったので、これで決めたいなと思います」と、開幕投手が固まったかのような口ぶりだった。菅野は開幕投手の大本命である。「落ち着くところに」の感もあるが、もう一度、冷静に判断しなければならないこともあるようだ。

「日程の問題ですよ」
 
 と話すのは球界関係者だ。巨人の開幕カードは3月25日からの立浪ドラゴンズとの3連戦。問題はその次の第2節である。昨季の覇者・東京ヤクルトとの3連戦が控える。昨季のチーム対戦成績は11勝11敗3分けだが、不振だった菅野はヤクルト戦で「防御率0.39」と、圧倒的な相性の良さを見せているのだ。
 
 優勝チームを叩いて勢いを掴もうと思えば、第2節まで温存しておくのも一つの手だろう。また、こんな指摘も聞かれた。“曜日”のことだ。
 
「開幕戦は金曜日ですが、ペナントレースの流れで言うと、火曜日から始まって6連戦を消化して、月曜日が移動日になるサイクルです。その6連戦の初戦を取るのと落とすのとでは大きく違ってきます」(プロ野球解説者)

 データ重視のメジャーリーグでは対戦チームとの相性などで先発が決まることも多いが、日本のプロ野球界では「開幕投手」は大任であり、エースが出てこなければ「何かあったのか?」となってしまう。第2節のヤクルト戦に投げてくる先発投手の顔ぶれも気になるが、序盤戦の巨人は「金、土、日曜日の3連戦」が重要になってきそうだ。

 日程表を見ると、4月1日の金曜日から、同15日の金曜日から、同29日の金曜日からの各3連戦は阪神戦だ。昨季、阪神が前半戦に独走態勢を築いた経緯を考えると、序盤戦で叩いておきたいはず。

 関係者や巨人情報に詳しいプロ野球解説者と話をする際、菅野の次に「シーシー、山口、戸郷…」という順番で先発投手を数える人が多い。「シーシー」とは、「クリストファー・クリソストモ・メルセデス」のことで、原辰徳監督以下、巨人の首脳陣はメルセデスを“準エース”と見ているのだろう。

「山口か、シーシーを温存し、6連戦の初戦である火曜日に投げさせるのでは。開幕第2戦、3戦に成長著しい堀田賢慎、山崎伊織が大抜てきされる可能性もあれば、キャンプ、練習試合で好投した今村信貴、新人の赤星優志を開幕3連戦で起用してくるとも考えられます。桑田コーチは6人ではなく、5人で先発ローテーションをまわす話しもしていましたのでどうなるか分かりませんが」(前出・球界関係者)

 週末の3連戦も勝ち越したいが、6連戦の初戦も大事。桑田コーチの腕の見せどころは開幕投手の選択ではなく、彼らをどんな順番で登板させるかのようだ。

(スポーツライター・飯山満)

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