ロシア軍によるウクライナへの進軍が続く中、スポーツ界でもロシア締め出しの動きが止まらない。
「まず先陣を切ったのが自動車レースのF1で、今年9月にソチで開催予定だったロシアグランプリの開催断念を発表。また、サッカーの欧州チャンピオンズリーグも決勝の開催地を、ロシアのサンクトペテルブルクからパリに変更しました。さらに国際オリンピック委員会(IOC)が、すべての国際競技連盟に対し、ロシアとベラルーシで予定されているスポーツイベントを中止または代替地で開催を要請したことで、今後、スポーツ界でロシア勢〝締め出し〟が加速することは必至でしょう」(スポーツジャーナリスト)
そんな中、一部ロシアメディアが、フィギュアスケート女子のカミラ・ワリエワのコーチで、ドーピング問題の渦中にあるエテリ・トゥトベリーゼ氏が、他国コーチに電撃移籍する可能性があると指摘し、波紋を広げている。
「移籍の可能性を伝えたのは『MKスポーツ』というロシアのメディア。記事では、ウクライナ侵攻を受けてスポーツ界におけるロシア勢の締め出しが始まっているとし、選手の出場停止を受けて仕事の無くなる指導者がまず海外流出する可能性を指摘。コーチは国籍関係なく指導できますからね。その1人にトゥトベリーゼ・コーチも含まれる可能性がある、と伝えているのです。これまでにもタチアナ・タラソワさんら日本人選手を指導したロシア人コーチはいますが、このまま戦闘が激化した場合は、海外から門下生をとるのではなく、完全に拠点を海外に移すことも考えられるでしょう」(同)
トゥトベリーゼ氏は、厳しい練習と確かな指導力で知られ、ソチ団体金メダルのユリア・リプニツカヤ、平昌大会の女子金メダルのアリーナ・ザギトワと銀メダルのエフゲニア・メドベージェワら、名選手を育て上げてきた。
だがそのぶん、ロシアでの待遇は破格といわれる。ロシアメディア「Kinoafisha」の報道によれば、ロシア政府から五輪のメダル獲得選手に贈られる報奨金は、日本円にして、金で約600万円、銀で約375万円、銅で約255万円。トゥトベリーゼ氏には、教え子と同額の報奨金が支払われるといわれる。
「北京五輪では団体と個人を合わせて金2個、銀2個ですから合わせて約1950万円。これに政府から1位で約300万円、2位で約190万円、3位で約130万円程度のボーナスが支給され、合計すると北京五輪だけで彼女は3000万円近い金を手にしたともいわれています。ですから、仮に他国に電撃移籍する場合に、この金額に匹敵するお金が払えるかどうか。プロである以上、そこが最大のポイントになるでしょうね」(同)
一部には、「日本人選手の指導者に!」という噂もあるようだが、鉄の女を移籍させるためには、かなりの資金が必要になりそうだ。
(灯倫太郎)