兜氏が続けて解説する。
「産駒登録数も157頭と2番目で、期待の高さをうかがわせますが、弟2頭がGⅠ馬になっていますから、当然でしょうね」
その2頭とは、サートゥルナーリアとリオンディーズ。兜氏がさらに言うには、
「産駒は馬格があって、迫力のあるきれいな走りをするとの評判で、サンデー系牝馬に問題なく付けられることも大きな魅力です。キズナはサンデー系牝馬と種付けできない(血が濃くなるため)のが弱点。繁殖牝馬の質では、エピファネイアが一枚上です。ロベルト系なので活躍馬が牡馬に偏るかもしれませんが、牝馬がダメというわけでもない。オールマイティーな活躍が期待できます。すでに評判が高いのは、秋華賞馬アヴェンチュラの仔、カイザーライン(牡)。ダービーの週に藤原英厩舎に入厩したばかりですが、オーナーサイドは、この馬でクラシックを、と意気込んでいます」
ステイゴールド産駒の新種牡馬にも、注目すべき2頭が。まずはGⅠ6勝馬ゴールドシップ。オルフェーヴルとともに、父ステイゴールド×母父メジロマックイーンという「黄金配合」を世に知らしめた存在である。産駒登録数は78頭と、キズナやエピファネイアの半分以下だが、
「非社台繋養種牡馬としては、それなりの質を持つ牝馬に付けている」(馬産地関係者)
一番星の期待を背負って、栗東で早くから乗り込まれてきたのが、須貝厩舎のサトノゴールド(牡)。現在は山元トレセンへ放牧中で、父と同じく7月の函館芝1800メートルでデビュー予定だ。産駒は仕上がりが早く、中長距離向きだという。
そしてもう一頭が、フェノーメノ。天皇賞・春を2連覇したステイヤーだったが、3歳時に日本ダービー、天皇賞・秋をハナ差2着したように、中距離でも戦えるスピードを備えていた。産駒登録数は97で、注目馬はアメリカンオークス馬を母に持つ、戸田厩舎のスパニッシュハート(牝)だ。
「走ることに対して前向きで、小柄なわりにはフットワークが大きい。デビューは先になりそうだが、覚えておいて損はないでしょう」(馬産地関係者)
最後に登場するのは、ダイワメジャー産駒の名マイラーで、12年のNHKマイルカップを勝利したカレンブラックヒル。勝ち鞍の全てが1800メートル以下だったように、産駒もスピードを生かしたマイラータイプに育っていきそうだ。兜氏が挙げる注目馬は、
「高木登厩舎のブラックトマホーク(牡)です。半兄にオープンまでいったデュアルスウォードがいて、兄同様にスプリント路線を歩ませる予定。いいバネがあり、走りの軽さが魅力です」
不調のディープインパクトにとって代わる、絶倫・名サイアーとなるのは、はたしてどの馬か─。